コンゴで少年より重宝される少女兵
コンゴの保護施設に暮らす少女たちは目の前で多くの人が殺された経験に今も苦しむ Thomas Mukoya-REUTERS
<紛争地域で強制的に民兵組織に加入させられた幼い少女たちは、恐怖と暴力にさいなまれ続けている>
マリアム(身の安全のため仮名を使用)の目は年齢よりずっと年老いている。彼女はまだ13歳かもしれないが、その目は一生脳裏から消えないほどの暴力と恐怖を見てきた。
彼女はコンゴ(旧ザイール)のカサイ地方の村の出身。数十年来の暴力で荒廃が進んだ中央アフリカの広大な国の中でも、激しい紛争を経験した地域だ。直近では2016年に政府軍と反政府系民兵の間で戦闘が勃発して数千人が死亡、全住民が避難民と化した。
紛争が始まったとき、村の指導者らは敵対勢力から住民を守るため民兵組織を結成。村長はマリアムに、家族を守るには戦うしか道はないと告げた。だが当時11歳だった彼女は、この言葉が嘘だったとすぐに気付いた。
彼女は仲間の少年兵を含む多くの人々が目の前で死ぬのを見た。両親が軍に殺されたとき、わずかな身の回り品をまとめて逃げようと決意。何日か歩き続け、民兵から脱走した子供たちが暮らす保護地域にたどり着いた。今では屋根の下で眠り、食べ物もあるが、マリアムの心はひどく混乱したままで悪夢にさいなまれている。
マリアムのような例は、カサイでは珍しくない。民兵の5人に3人は18歳以下とみられ、そのうち半数以上が15歳以下だ。
私たちは、マリアムと同じく民兵に強制加入させられた16人の少女に話を聞いた。彼女たちは無理やり儀式に参加させられ、戦闘時に「弾丸が当たらない体になる」ための掟に従わされた。
彼女たちの多くは軍に両親が殺害されるのを目にして逃げ出し、今では当局に見つかることを恐れながら生活している。コンゴの法律では子供を戦闘に勧誘するのは禁じられ、少年・少女兵は被害者とされるが、警察や軍当局は子供を含む現役・元民兵を片っ端から捕まえている。
少年よりも「規則」に忠実
カサイやコンゴの他の地域で民兵として使われる子供の数は不明だが、06年にユニセフ(国連児童基金)は3万人に達すると試算した。昨年だけでも3000人の子供が加入させられたという。数字に裏付けがないのは、彼らの多くが今も身を隠して暮らしているためだ。
子供たちは大人よりも操るのが容易で、養う費用が少なくて済み、善悪の感覚が未熟なため、民兵組織にとっては好都合だ。子供は言われたことを信じる傾向がある。戦うことで誰かを守れる、死ぬことは決してない、と言われれば妄信してしまう。