最新記事

中国

中国サッカーファンが日本チームを大絶賛!

2018年7月6日(金)13時10分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

●そうだよ!もしベルギーの監督が選手交代していなかったら、日本はベルギーに勝っていたかもしれない。アジアの夢を叶えてくれたかもしれない。それくらい、日本チームの力は凄かった。正直に礼賛する!

●西野はなぜ、もっと早く選手を交代させなかったのか?それだけが疑問として残る。

●選手交代で、この体躯のギャップを埋めるべきだったのでは?

中国は日本に学べるのか?

●中国が日本チームに追いつける日が来るとは、とても思えない。

●そもそもサッカーに対する概念が違うんだよ。日本は小学生のころからサッカーを学ばせ、中学、高校と、学校間の対抗試合さえある。大学に進めばなおさらだ。そういった優秀な選手が下から積み上がっていって、プロの選手になっていくんだぜ。

●中国ときたら、どうだい?学園(キャンパス)サッカーなんて、あるかい?小さいころからサッカーをやったとしたって、たかだか遊びみたいなものだよ。日本じゃ、プロになれなくたって、ちゃんと別の勉学の道が用意されていて、他の専門や職業を選択することができる。中国はどうだい?プロの道から外れた者は、もうそれでお終い。人生の選択がなくなってしまう。どこの親が、そんなリスクをわが子に負わせるって言うんだい?だから、無理無理!中国チームが日本チームみたいになる日は来やしないよ。

中央テレビ局CCTVは?

これらの、不思議なほどの日本チームへの礼賛と中国チームに対する自虐的なほどの批判を受けてか、中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVは、なんとこの日、「少年サッカー」の映像を流していた。

「習近平国家主席は、こよなくサッカーを愛し、中国のサッカー選手の育成に心を注いでおられます」というアナウンサーの習近平を褒め上げるトーンの声に合わせて、少年たちがサッカーの練習に励む姿を報道したのだ。

民主的な普通選挙がない中国では、政府はネットユーザーの声に異常なほどデリケートに反応する。それは「人民の声」であり、本来なら「選挙民の声」だからだ。しかし今回ネットユーザーたちは中国政府を批判したわけではないので、これら日本チームを礼賛するコメントを削除する訳にもいかない。

7月3日、CCTVが「少年サッカー」の映像を流したことに、中国の苦悩の一端を見る思いがし、なんとも興味深かった。

endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英独仏とイランの核協議、進展なし トランプ氏復帰前

ワールド

ガザ難民キャンプなどで40人死亡、イスラエルが攻撃

ワールド

安楽死法案に支持多数、議論は継続 英下院

ワールド

インドネシア中銀、当面は通貨安定に重心 25年には
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える新型ドローン・システム
  • 3
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合の被害規模は想像を絶する
  • 4
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 5
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 6
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 7
    ペットの犬がヒョウに襲われ...監視カメラが記録した…
  • 8
    定説「赤身肉は心臓に悪い」は「誤解」、本当の悪者…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 4
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 7
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 10
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中