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航空機コックピット改革 人材難にAI進化で「パイロット1人制」議論に

2018年7月26日(木)13時42分

7月18日、航空機メーカー各社は、ジェット機の長距離フライトに必要なパイロットの人数を減らし、1人でも運航可能な操縦室を設計することで、世界的なパイロット不足を緩和し、航空会社のコストを削減しようともくろんでいる。写真はドイツの航空会社ユーロウイングスの操縦席。デュッセルドルフで4月撮影(2018年 ロイター/Wolfgang Rattay)

航空機メーカー各社は、ジェット機の長距離フライトに必要なパイロットの人数を減らし、1人でも運航可能な操縦室を設計することで、世界的なパイロット不足を緩和し、航空会社のコストを削減しようともくろんでいる。

長距離フライトのコックピットクルーは通常3─4人だが、欧州のエアバスと仏タレスでは、パイロットの負荷を減らす新たなテクノロジー導入によって、2023年以降にはその数を2人に減らすことができると予想している。

「ありえない期限ではない。もう1人パイロットも搭乗するのだから、長距離ジェット機の乗組員を減らすということは、非常に受け入れやすい措置だろう」。今月開催された英ファンボロー航空ショーの会場で、エアバスのエンジニアリング部門を率いるジャンブリス・デュモン氏はロイターに語った。

米ボーイングでは、計画中の中型ジェット機について操縦室の乗務員を減らす可能性を検証している。来年着工決定へと漕ぎつけることができれば、2025年の就航を目指すことになると、UBSのアナリストは指摘する。ボーイングのコメントは得られなかった。

「こうした動きの背景には、2つの視点が考えられる」と、英クランフィールド大学の輸送システム学部長を務めるグラハム・ブレイスウェイト氏は語る。「航空機の自動操縦テクノロジーが非常に優秀だということ。もう1つは、パイロットが本当に不足しているという事情がある。パイロットは非常に高価な人材だ」

コックピットクルー削減は、まず貨物機から始まる可能性があり、1980年代にボーイング757など新型ジェット機の設計改善によって航空機関士が廃止され、操縦に必要な人数が3人から2人に削減されたときと同様に、避けがたい動きだと削減支持派は指摘する。

「パイロット1人制」の導入は、世界各国の航空会社にとって年間約150億ドル(約1.7兆円)のコスト削減につながる可能性があり、現在パイロット不足に悩んでいる航空産業にとっても、十分な数のパイロットを確保しやすくなる、とUBSは指摘する。

操縦席にずらりと並ぶノブやスイッチを、10代の若者にも馴染みのあるデジタル化されたインターフェイスに置き換えれば、訓練期間を短縮して、さらにはパイロット不足の緩和につながる可能性がある。

最終的には、自動運転車の流れに沿って、民間ジェット機の完全自動操縦を目指すことになるだろう。とはいえ、この技術のためには主要メーカーによる白紙の状態からのジェット機設計が必要となり、タレスの試算によれば、実現には2040年までかかるという。

「自動操縦は、われわれのシステムに、心臓切開手術を行うようなものだ。現行システムはすべて、操縦室に常にパイロットを2人配備するように設定されている」とエアバスのデュモン氏は語る。

だが、こうした削減方針に対する批判もある。長距離フライトでは操縦室に3人以上、短距離フライトでも最低2人のパイロットを配備することには、安全上の正当な理由があり、そのメリットはコスト面でのデメリットを上回る、というのだ。

脆弱性の増大

例えば、長距離フライトの巡航で、1人のパイロットが休憩に入り、操縦室に1人しか残っていない場合、疲労が増大し、飛行中に発生する想定外の事象に対する脆弱性が増してしまうと、ロイターが取材した3人のパイロットは語り、2009年に発生したエールフランス447便の墜落事故を例に挙げた。

このとき、乗員乗客228人を乗せたエアバス330型機には、3人のパイロットが搭乗していたが、高高度からの失速から機体を回復できなかった。事故発生時には、経験の浅い2人のパイロットが操縦を担当しており、休憩していた機長が戻って対応したが、手遅れだった。

「彼らが直面した事態をシミュレーションで体験した。何が起きようとしているか、分かってはいても、非常に当惑した」とカンタス航空のパイロット組合を率いるマレー・バット委員長は語る。「あの真夜中に、飛行経験の浅い2人のパイロットがどんな気持ちだったか、想像もできない」

他に懸念されるシナリオとしては、2015年に発生した格安航空会社ジャーマンウィングスの事故のように、パイロットの1人による故意の墜落事故、また1人しかいないパイロットが航行中に健康問題を起こすリスクなどが挙げられる。

パイロット1人制への移行は、訓練面でも難題だと、オーストラリアの民間航空機パイロットで航空分野の研究者でもあるスチュアート・ベバリッジ氏は語る。副操縦士の役割は、機長としての責任を担う前の見習いとしてのステップと考えられているからだ。

また乗員数を絞ることによる財務メリットも、限定的な可能性がある、と指摘するのは航空コンサルタントのジェームス・ハルステッド氏だ。航空会社が得るコスト削減の恩恵は、運賃の値下げという形で乗客に還元される可能性が高いからだという。

「長距離路線においては、燃料費や設備投資に必要とする資本コストに比べれば、乗組員の人件費が占める部分は小さい」とハルステッド氏は言う。「パイロット1人分の給与を節約しても、吹き飛んでしまう」

航空会社の利用者も警戒の色を隠さない。UBSのアンケート調査によれば、パイロットが1人で操縦するジェット機に乗っても構わないという回答は全体のわずか13%だった。

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