最新記事

米朝首脳会談

かつては「死の島」 米朝首脳会談の開催地セントーサ島のカペラホテルとは?

2018年6月10日(日)11時41分

6月6日、歴史的な米朝首脳会談が開催される会場は、第2次世界大戦中に日本軍の捕虜収容所があり、「背後から忍び寄る死の島」と呼ばれたシンガポールのリゾート地である。写真はセントーサ島(左)のケーブルカーから撮影した風景。昨年7月撮影(2018年 ロイター/Darren Whiteside)

歴史的な米朝首脳会談が開催される会場は、第2次世界大戦中に日本軍の捕虜収容所があり、「背後から忍び寄る死の島」と呼ばれたシンガポールのリゾート地である。

この島は現在、平和と平穏を意味するセントーサと呼ばれる。12日に首脳会談が行われるカペラ・ホテルは、英王立砲兵連隊の施設を改修して造られており、伝説によると、芝生の下には銀が埋蔵されている可能性があるという。

首脳会談を6日後に控え、広大なこの高級ホテルにはほとんど観光客はいなかったが、大勢の警官や他の治安要員や職員らが準備に追われていた。

今のところ、ホテルはすでに入っている予約は受けるものの、今後は受け入れないとしている。

シンガポールではこれまでも、主要なサミットが行われてきたが、セントーサ島では一度もない。同島は、ビーチやホテル、カジノやユニバーサル・スタジオがあることで知られる。

「つまりそれは、一からセキュリティー対策を練らなくてはならないことを意味する」と、アデムコ・セキュリティー・グループのマネジングディレクター、トビー・コー氏は言う。同社はアジア数カ国の企業にセキュリティーシステムを提供している。

コー氏は米朝首脳会談のセキュリティーには関与していない。

米国と北朝鮮は、厳密に言えば、いまだ戦争状態にある。両国は、中国と共に、朝鮮戦争(1950─53年)を終わらせた休戦協定の調印国である。トランプ米大統領は、朝鮮戦争を正式に終結するための文書に署名する可能性を示唆している。

シンガポールはセントーサ島全域を米朝首脳会談のための「特別区域」と宣言。セキュリティーチェックが強化され、交通も制限される可能性がある。また拡声器やドローンの使用も禁止される。

来週の数日間、島にある他のホテルや施設も影響を受けることになるが、マネジメントを任されている政府機関は「通常通り」だと言う。

だが、セントーサ島の高級住宅に住む人たちは、さまざまな遅れを覚悟している。シンガポール本島とは、道路やモノレール、ケーブルカーでつながっている。

「セントーサ島への出入り口はたった1つしかなく、もしそれが完全に閉鎖されれば、大いに不便になることは確実だ」と同島の女性住人は語った。

かつては墓地であり、マレー語で「背後から忍び寄る死の島」を意味するセントーサ島は1970年代、埋め立てにより拡大され、観光地として開発された。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中