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地球外生命体は、やはりエウロパに存在する、のか? 間欠泉が存在する新たな証拠発見

2018年5月22日(火)15時20分
鳥嶋真也

NASAは2012年と2016年に、宇宙望遠鏡「ハッブル」を使った観測によって、エウロパから水が噴き出しているように見える場所があることを発見。研究者らはこれを間欠泉ではないかと考えた。

もっとも、このハッブルによる観測はややあやふやなもので、間欠泉が存在する確実な証拠とは言えず、異議を唱える研究者もいた。

そこで今回、ミシガン大学の宇宙物理学者Xianzhe Jia氏らの研究チームは、これとは異なる方法で証拠を捉えようとした。

かつてNASAは、1989年に木星探査機「ガリレオ」を打ち上げ、2003年まで木星圏の探査を行った。そして1997年には、エウロパの近くを通過し、さまざまなデータを集めていた。

Jia氏らはその古いデータを、最新技術を使ってあらためて分析。その結果、あるときにエウロパの磁場とプラズマが変化していることがわかった。Jia氏らはこれを、エウロパから噴き出した水蒸気や塵によって影響を受けた結果だと考えており、すなわち間欠泉が存在する証拠だとしている。

jupiter003.jpg探査機ガリレオの想像図 (C) NASA/JPL

2022年にはエウロパ探査機が打ち上げ

この新たな、そしてこれまでと異なる方法で導き出された証拠が見つかったことで、間欠泉が存在する可能性はより高まり、そして海に存在するかもしれない生命の探査への期待も高まる。

現在NASAは、2022年6月の打ち上げを目指し、エウロパ探査機「エウロパ・クリッパー」の開発を進めている。このエウロパ・クリッパーには、間欠泉から噴き出す物質を捉えて分析できる装置が搭載される。今回の研究成果で、この装置が活躍できる可能性が高まった。

はたして、エウロパの海はどんな環境なのか。そして生命は存在するのか。私たちはその答えを、そう遠くないうちに知ることができるかもしれない。


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