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宇宙隕石内のダイヤモンド、太陽系初期に存在した大型原始惑星の残骸だった
2009年2月28日に、スーダンのヌビア砂漠でピーター・ジェニスケンスらが発見した2008 TC3の破片 Credit : Peter Jenniskens (SETI Institute/NASA Ames)
10年前に落下した隕石に含まれるダイヤモンドを分析した結果、この隕石が、太陽系初期に存在していた大型原始惑星の残骸である可能性が高いことが、欧州の研究チームによって明らかになった。
小惑星「2008TC3」と「アルマハータ・シッタ隕石」
スイス連邦工科大学ローザンヌ校の地球惑星科学研究所(EPFL)が発表し、研究論文は「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。
EPFLとフランス、ドイツの科学者らによる研究チームは、2008年10月にスーダンのヌベア砂漠で回収された「アルマハータ・シッタ隕石」を調べてきた。これは、直径4メートル超の小惑星「2008TC3」が大気圏に突入し、爆発してから地上に落下した1〜10センチの破片約50個に対して付けられた総称だ。
アルマハータ・シッタ隕石の多くは、ユレイライトと呼ばれるグループに属する。ユレイライトは、太陽系初期に存在した原始惑星を起源とするという仮説が提唱されている。また、ダイヤモンドを含むのが特徴の1つだ。
ダイヤ形成時の圧力から惑星のサイズを推定
研究チームは、アルマハータ・シッタ隕石内のダイヤモンドに含まれる微小な結晶包有物を分析。その結果、ダイヤモンドが形成された時の地層圧が20ギガパスカル以上だった可能性が高いことが分かった。
この地層圧から、初期太陽系の誕生から1000万年の間に、水星から火星程度の大きさの原始惑星の内部でこれらのダイヤモンドが形成され、その原始惑星が他の天体との衝突により消滅したあとの残骸が小惑星2008TC3だと考えられるという。
論文の執筆者らは、「この研究は、ユレイライトの母天体が約45億年前に衝突で破壊される前、そうした大型の『失われた』惑星だったという有力な証拠を示しています」と書いている。