最新記事

中朝会談

日本政府はなぜ中朝首脳会談を予見できなかったのか

2018年3月30日(金)18時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

日本政府に欠けていたもの

だというのに、日本政府ともあろうものが、27日の夜に至ってもなお、訪中した北朝鮮要人が誰であるかを確認できずにいたというのは実に残念だ。もしかしたら確認は出来ていたが、発表できないでいたのかもしれないと、善意に解釈することもできる。

しかし、情報網と分析力に欠けていたのではないかという印象は否めない。

分析力が欠如したのは、北朝鮮問題を分析する際に、目前の現象ばかりに目を奪われて、そもそもの北朝鮮問題の根源はどこにあるのかを見ようとしない傾向にあることが一つ指摘される。

それは朝鮮戦争の休戦協定が、どのように米韓によって破られてきたのかを直視する勇気を持っていない日本全体の空気のせいでもあると筆者の目には映る。

この盲点を描いたのが『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』第3章「北朝鮮問題と中朝関係の真相」だ。日本人全体として、この事実を認めたがらない傾向にある。その感情は理解できる。

しかし日本政府は、そこに「感情」を入れたがらない。

感情を入れたが最後、偏見が生まれ、真実を見る目が濁り、次に何が起きるかという予見もできないのである。

予見ができなければ、日本は必ずハシゴを外される。日本が外交的失敗に陥ることを最も懸念する。

それがどれだけ国益を損ねるか、今後の未来予測のためにも反省を促したい。そして、今後そのようにならないことを心から期待したいと思う。

endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

10─12月期GDPは前期比+0.1%、年率+0.

ワールド

米政権、「海事行動計画」発表 造船業再建目指す

ビジネス

オープンクロー創設者がオープンAIに入社、アルトマ

ビジネス

ステランティス、欧州でディーゼル車復活 少なくとも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 2
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 7
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 8
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中