最新記事

人工肉

「人肉を培養したら、共食いのタブーを克服できる」ドーキンス博士の発言が物議

2018年3月20日(火)18時30分
松岡由希子

また、この調査によれば、魚や牛、豚、家禽、ベーコン、ハムにおいては「クリーンミートを食べたい」との回答が少なくなかったが、ウマ、イヌ、ネコの細胞を人工培養したクリーンミートに積極的な姿勢を示す回答はほとんどなかった。研究プロジェクトでは、この結果について「西洋の概念に基づく食用動物とそうでない動物との分類と一致している」と考察している。

人工培養による家禽肉の生成に成功

近年、クリーンミートの実用化に向けて、様々な研究開発がすすめられている。蘭マーストリヒト大学のマルク・ポスト教授は2006年からクリーンミートの培養に取り組み、2013年8月には、世界で初めて、クリーンミートを使ったハンバーガーの試食会を英ロンドンで開催した。

また、米サンフランシスコのスタートアップ企業「メンフィス・ミーツ」が、2017年3月、世界初の人工培養による家禽肉の生成に成功したほか、人工培養による海産食品を開発する「フィンレス・フード」やエビの人工培養に取り組む「ニュー・ウェーブ・フーズ」など、人工培養の対象となる生物も多様化している。


国際連合食糧農業機関(FAO)によると、発展途上国では、人口と所得の増加に伴って、1980年以降、食肉消費量が倍増しており、世界全体の食肉需要は、2050年までに2倍に膨れ上がると予測されている。クリーンミートは、今後の食肉の需要増へのソリューションとしても期待されているが、本格的な実用化や市販化に備えて、環境保護や倫理など、様々な観点から、議論を深めていく必要があるかもしれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ住民の50%超が不公平な和平を懸念=世論

ワールド

北朝鮮、日米のミサイル共同生産合意を批判 「安保リ

ビジネス

相互関税「即時発効」と米政権、トランプ氏が2日発表

ビジネス

EQT、日本の不動産部門責任者にKKR幹部を任命
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中