「人肉を培養したら、共食いのタブーを克服できる」ドーキンス博士の発言が物議
また、この調査によれば、魚や牛、豚、家禽、ベーコン、ハムにおいては「クリーンミートを食べたい」との回答が少なくなかったが、ウマ、イヌ、ネコの細胞を人工培養したクリーンミートに積極的な姿勢を示す回答はほとんどなかった。研究プロジェクトでは、この結果について「西洋の概念に基づく食用動物とそうでない動物との分類と一致している」と考察している。
人工培養による家禽肉の生成に成功
近年、クリーンミートの実用化に向けて、様々な研究開発がすすめられている。蘭マーストリヒト大学のマルク・ポスト教授は2006年からクリーンミートの培養に取り組み、2013年8月には、世界で初めて、クリーンミートを使ったハンバーガーの試食会を英ロンドンで開催した。
また、米サンフランシスコのスタートアップ企業「メンフィス・ミーツ」が、2017年3月、世界初の人工培養による家禽肉の生成に成功したほか、人工培養による海産食品を開発する「フィンレス・フード」やエビの人工培養に取り組む「ニュー・ウェーブ・フーズ」など、人工培養の対象となる生物も多様化している。
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、発展途上国では、人口と所得の増加に伴って、1980年以降、食肉消費量が倍増しており、世界全体の食肉需要は、2050年までに2倍に膨れ上がると予測されている。クリーンミートは、今後の食肉の需要増へのソリューションとしても期待されているが、本格的な実用化や市販化に備えて、環境保護や倫理など、様々な観点から、議論を深めていく必要があるかもしれない。