最新記事

食材

昆虫食はすでに日常 カナダの大手スーパー「コオロギ粉」全国販売開始

2018年3月13日(火)17時40分
モーゲンスタン陽子

stockerman-iStock

<カナダの食品流通最大手で、コオロギの粉末を全国の店舗で販売開始。すでにコオロギは日常的食材として浸透している>

カナダの食品流通最大手のロブロウズがこのほど、コオロギを砕いた粉末を自社ブランドに加え、全国の店舗での販売を開始した。

全国に2000以上あるロブロウズではこれまで、トロントの1店舗の小さな「代替プロテインコーナー」でのみ昆虫の取り扱いがあったが、自社ブランドでの昆虫製品はこれが初めて。

昆虫食の土壌はすでにできていた

カナダはオンタリオを本拠地とするロブロウズは、比較的廉価な自社ブランド「プレジデント・チョイス」でよく知られている。

これまでもカナダではミールワーム(甲虫の幼虫の総称)やコオロギのミートソースや、ハニーマスタード味のコオロギの丸焼きスナックなどが商品化されているが、全国レベルのスーパーでコオロギ製品が常備されるのは初めてという。

外食産業でも、数年前にすでにバンクーバーでコオロギピザや、トロントでタランチュラのてんぷらやコオロギの串焼きを供する店が登場している(globalnews)。そのような動きを踏まえてロブロウズは、自宅で日常的に使うほど、コオロギはカナダ人のあいだに浸透したと判断したようだ。

「業界のリーダーとして、コオロギ粉を簡単でアクセスしやすい形でカナダ人に届ける先駆者になりたかった」と、スポークスウーマンのキャサリン・トーマスは語る(CBC)。

どんな料理にも使える

プレジデント・チョイスのためのコオロギを生産するのはオンタリオ州を拠点とするエントモ・ファームで、コオロギやミールワームを使用したオリジナル製品も生産している。

コオロギ100%のコオロギ粉は、単純に小麦粉の代用品として、どんな料理に使っても相性がいいようだ。プレジデント・チョイスのウェブサイトでは、コオロギ粉を使ったカレーやチョコレートバーなどのレシピも紹介している。

エントモ・ファームの共同創始者ジャロッド・ゴールディンは、ヨーグルトに振りかけて食べるという。少量ならほとんど邪魔をしない味だが、多めに使うと「とても素敵な、土のような、ナッツのような、マッシュルームのようなフレーバーがある」そうだ。

単なる代用プロテインではない

Entomophagy「昆虫食」はこの2、3年で急激に注目されるようになった。ヨーロッパでも、何ともいえない表情でコオロギを試食する市民の様子がニュースで紹介されるようになってきた。本誌米国版でも昨年、フィンランドの食品大手が売り出したコオロギパンを紹介している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国軍が東シナ海で実弾射撃訓練、空母も参加 台湾に

ビジネス

再送-EQT、日本の不動産部門責任者にKJRM幹部

ビジネス

独プラント・設備受注、2月は前年比+8% 予想外の

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中