米と兔はなぁんだ? 絵文字でセクハラと戦う中国の#MeToo
中国語で米は「みー」、兔は「とうー」と発音するため、この当て字が使われるようになった Supplied: The Conversation/Marcella Cheng
中国での#MeToo運動のきっかけ
#MeToo(私も)というハッシュタグを使い、セクシャルハラスメントや性的暴力の被害をソーシャルメディア(SNS)で告白したり共有したりする動きが欧米諸国を中心に広がりを見せている。
しかしオンライン上での発言が厳しく検閲される中国では、少しひねりを加えた方法で、密かに展開中のようだ。お茶碗に入ったご飯とうさぎの絵文字を使って、「MeToo」と読ませてハッシュタグにしている。
中国での#MeToo運動のきっかけを作ったのは、現在は米国在住のルゥオ・シーシーさんと言われている。中国の英語メディア「シックス・トーン」が今年1月2日に報じた内容によると、シーシーさんは2004年、北京航空航天大学で博士課程を始めたばかりのころ、教授に自動車内に閉じ込められて襲われかけた。この体験を今年1月1日付のブログで告白したところ注目を集め、同じ教授から被害にあったという学生が複数出て来たという。
1月31日付のロイター通信によると、シーシーさんの投稿を受けて大学側が調査に乗り出した。その結果、中国教育省は1月14日、セクハラの事実に基づき当該教授を教授職から免じたと発表。学生を傷つける行為は断じて許さず、セクハラ防止策を構築するとした。ロイターは、中国政府が当初、#MeTooの動きに協力的だったと伝えている。
ロイターによると教育省の発表から1週間後、50人以上の教授が連名で、学内でのセクハラを厳しく取り締まる規則を求める書簡をオンライン上で公開した。
また、オーストラリアの公共放送SBSによると、中国全土で1万人以上の学生が、セクハラを報告するシステムの導入を求めて大学宛てに公開書簡を書いた。さらに北京の大学で抗議デモ行進が行われることになった。
中国での#MeToo運動が一気に加速しそうなところだが、ここで様子が一変した。デモが突然キャンセルされたのだ。ロイターによると主催者側はキャンセル理由を明らかにしていないが、デモに参加予定だった3人が匿名でロイターに話したところ、参加しないようにと学校に告げられた、とのことだった。
その後、SNSでの#MeTooに関する投稿などは、削除されるようになったという。「1つの大学での1つの疑惑だった当初は、当局は非常に協力的だった」が、中国政府は「集団行動に発展しそうな議論は定期的に検閲している」とロイターは説明しており、今回も#MeTooが集団としての抗議活動になりそうだったことから、未然に封じ込めようとしたのではないかとみている。
米と兔の#RiceBunnyが生まれた背景
From #MeToo to #RiceBunny: Skirting social media censorship in China https://t.co/wk1GKnl3Mr pic.twitter.com/yOGcmZgDGn
— ABC News (@abcnews) 2018年2月6日
そうした状況から生まれたのが、中国語の発音に似せた、「米」と「兔」の漢字と絵文字で表現するものだ。学術系ニュースサイト「ザ・カンバセーション」によると、中国語で米は「みー」、兔は「とうー」と発音するため、この当て字が使われるようになった。そのため、米と兔の絵文字と共に「#RiceBunny」(お米のうさぎ)というハッシュタグを使って、当局の検閲をくぐり抜けているという。