新作『スター・ウォーズ』は最新デジタル技術よりフィルム実写を選んだ
よく言われるフィルムの長所は、いくら技術が進んで新しい映像の規格が出てきたとしても、状態の良いオリジナルフィルムさえ残っていれば何にでも対応できる、という点である。デジタルの場合、技術の進化で新しい記録媒体が出てきて、それにアップコンバートした場合、どうしても映像が荒くなってしまい、元の良さをそのまま生かすことができない可能性があるのだと言う。
また、技術的な部分のみではなく「フィルム撮影の方が画質に趣きがある」「柔らかい感じが良い」など、見たときに受け取る感覚でフィルム撮影が好きな業界人も多い。スター・ウォーズのJ.J.エイブラムス監督をはじめ、クリストファー・ノーラン監督、クェンティン・タランティーノ監督などはフィルム撮影を支持していることで有名だ。
一方では、コスト面から見てもデジタルのアドバンテージは多く、デジタルカメラの進化によってドローン撮影など今まで低予算では撮りにくかった撮影も気軽にできるようになった。
巨匠と呼ばれる映画監督の中には、デジタル作品が増えることで、誰でも安く気軽に映画が撮れるようになり、駄作が増えるだろうと主張する人もいるようだ。だがその分まだ知名度のない若手監督や俳優がチャンスをつかむ機会が増えることも予想される。
映画撮影技術、上映方法においてターニングポイントとなる21世紀の今、3Dや4Dなどデジタルだからこそできる技術もあるが、あえてアナログを見直しフィルム撮影した作品が逆に話題を呼ぶようになった。
CGをはじめとする「魅せる」技術が進化する一方で、合成したアクションやCGで作られた爆発の炎でなく、リアルであることに観客が注目して、口コミ戦略としても使われるようになってきた。今回の『最後のジェダイ』でも、宇宙船「ミレニアムファルコン」や背景が実際にスタジオ内に制作され、CGの利用を最小化したことに注目が集まった。
個人的にも、CGが目立つ映画に関して、出始めたころはその技術の素晴らしに感銘を受けたのだが、最近はあまりにも技術だけ目立つ作品を見ると疲れるようになってきた。
2018年、今年もたくさんの映画が生まれていくだろう。デジタルとアナログをうまく織り交ぜた素晴らしい映画が今年もたくさん製作されることを願っている。