新作『スター・ウォーズ』は最新デジタル技術よりフィルム実写を選んだ
「最後のジェダイ」撮影スタジオを英王室のウイリアム王子とヘンリー王子が見学したときもCGではなく実物大の戦闘機のセットが組まれていた。 Adrian Dennis/REUTERS
<最新SF映画の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の撮影で活躍したのは意外にも4Kや8Kといった最新デジタル技術ではなく半世紀前に発表されたフィルム撮影だった>
最近、映画館では4DXやドルビーアトモス、IMAXなど、さまざまな上映システムで映画を鑑賞できるが、2017年12月15日に公開された『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』もそうした映画の一つ。しかもIMAXでの効果が発揮されることを狙って、前作『フォースの覚醒』に続き、35mmフィルム+一部70mmフィルムで撮影されていたことはご存じだろうか? デジタルでなく、あえてフィルムで撮影されたことが注目されている。
そもそも、IMAXと一般映画の違いはどういうものなのか見てみよう。よく映画館の広告などで「IMAX」とクレジットされた巨大スクリーンの劇場を見たことがあるかもしれない。これはカナダのIMAX社が開発した映画配給プラットフォームである。社名のIMAXとは「IMAGE MAXIMUM」の略で、1.43:1という独自のスクリーン画面比率と高解像度による美しく精細な映像がウリだ。他にも音響や客席配置などにも工夫があるが、大きな特徴はこの2点である。
今から半世紀前の1960年代末に発表されたIMAXだが、実際の映画作品が世界で初めて上映されたのはなんと日本であった。1970年大阪万博の富士グループパビリオンで『虎の仔』という17分の短編作品が上映されたのである。ちなみに、世界で初めてIMAXの3D作品が上映されたのも日本で、1985年のつくば科学万博で『ザ・ユニバース』という映画だった。
撮影については、IMAXの専用カメラを使うことが多い(IMAX上映映画全てがそうではなく、通常映画をIMAX用にアップコンバート、つまり変換して上映することもある)。このカメラ、簡単に何が違うのかと言うと、通常の倍の大きさの特別なフィルムを使い、一般的なカメラでは縦に動くフィルムを横に動かして撮影する。3分間で1回フィルムを変える必要があり(通常は約9分)、特殊なカメラは大きく重いので撮影も手間がかかる。そのため、IMAX映画と言っても作品全編をこのカメラで撮影することは少なく、一部のみに使われることがほとんどである。