最新記事

天体

ナゾの天体「オウムアムア」の正体 これまでに分かったこと

2017年12月21日(木)15時00分
松丸さとみ

「オウムアムア」のイメージ ESO/M. KORNMESSER

宇宙人の探査機説は「シロ」

彗星なのか、小惑星なのか、それとも宇宙船なのか!?と世間を騒がせている恒星間を移動してやってきたナゾの天体「オウムアムア」だが、実体が少しずつ分かり始めているようだ。

先週お伝えした通り、宇宙人探しのプロジェクト「ブレークスルー・リッスン」がバージニア州のグリーンバンク望遠鏡を使って電波信号の有無を探っていた。戻ってきたデータを解析したところ、今のところ出ている結果で判断すると、答えは「シロ」だった。人工的な信号は何も見つからなかったのだ。

ただし、2時間の観察で90TBという膨大なデータを集めたため、解析はまだ終わっていない。ブレークスルー・リッスンは、データの解析と並行して、引き続き電波信号の観察を行う意向だ。

しかし宇宙人の探査機でないことが今のところはっきりし、分類上は小惑星とされているものの、彗星なのか小惑星なのか、オウムアムアの実体は天文学者をもってしても複雑すぎるらしい。

構成などの面からその正体を突き止めようと研究をしている英クイーンズ大学のアラン・フィッツシモンズ教授率いる天文学者のチームが18日、これまで分かったことをまとめた内容を天文学の専門誌「ネイチャー・アストロノミー」に発表した。

数億年の宇宙の旅でできたコート

サイエンス・アラート」によると、オウムアムアは当初、彗星だと考えられていた。しかし天文学者らが調査を進めた結果、どうやら小惑星らしいということで、現在の分類上は小惑星になっている。

二者の違いは、その天体が何できているかだ。彗星は氷、塵、岩石からできており、太陽に近づくと氷が溶けてガスを発する。彗星の「尾」とされるのは、この溶けた氷が発した、岩石などの粒子が混ざったガスだ。一方で小惑星は、岩石、塵、金属でできており、太陽に近づいても彗星のようにガスを発生することはない。

オウムアムアはガスを出している様子がないため、主に岩石と金属でできた小惑星だと分類されている。しかし前述のフィッツシモンズ教授が発表した分析内容によると、オウムアムアの正体は「炭素が豊富に含まれた泥に包まれた氷」らしい。

もともとは二酸化炭素などでできた氷だったオウムアムアだったが、数百万〜数億年かけて宇宙を旅するうちに、宇宙放射線を浴びて50センチほどの厚さの「コート」ともいうべき炭素の泥ができたようだ。太陽のそばを通り300度以上に熱されても中の氷が溶けなかったのは、このコートのおかげだった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

インド、対EU貿易協定は月内にまとまる見込み=商工

ワールド

EU、ロシア産原油の上限価格引き下げ 2月1日から

ワールド

原油先物横ばい、イラン情勢巡る懸念緩和

ビジネス

焦点:グロックの性的画像無断生成、欧州はどこまで規
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 8
    母親「やり直しが必要かも」...「予想外の姿」で生ま…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中