最新記事

体罰

子供を叩かないで! 体罰の影響を科学的に研究 

2017年11月15日(水)18時45分
松丸さとみ

一方で、体罰が子供に悪影響を与えることを示唆する研究は多数あるようだ。中でも、アフィフィ准教授とロマノ教授が記事中で「画期的な2つのメタ分析」と描写しているのは、いずれもテキサス大学オースティン校のエリザベス・ガーショフ准教授によるものだ。1つはガーショフ准教授がコロンビア大学で研究していた2002年に発表したもので、それより前の62年間にわたる88件の調査を分析している。そこでは、体罰は身体的な虐待となる恐れがあり、また子供の非行や反社会的な行動にも強いつながりがあると結論づけている。

体罰が攻撃性や反社会的行動に

そして、さらに拡大させた調査が2016年に発表されている。13年間におよぶ75件の調査を分析したもので、そこでも、叩くことで子供の振る舞いが改善された証拠は見つからなかったとし、逆に体罰が13種類もの有害な結果を引き起こすと結論づけている。有害な結果には、攻撃性、反社会的行動、心の問題、親とのネガティブな関係などが含まれる。

こうしたことから、子供や思春期の青年たちをしつけるために叩くという行為は決してするべきではない、と教授らは述べている。また、肯定的な子供のしつけ方を親が実践できるように支援する必要があるとしている。現在カナダでは、自宅訪問イニシアチブや、地域社会や小児科での介入の効果について調査が行われているという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

スウェーデン、バルト海の通信ケーブル破壊の疑いで捜

ワールド

トランプ減税抜きの予算決議案、米上院が未明に可決

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、2月50.2で変わらず 需要低

ビジネス

英企業、人件費増にらみ雇用削減加速 輸出受注1年ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 9
    ハマス奇襲以来でイスラエルの最も悲痛な日── 拉致さ…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 8
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 9
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中