最新記事

北朝鮮

北朝鮮の子供たちの余りに残酷な現実 身分で決まる天国と地獄

2017年11月9日(木)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

北朝鮮で「普通」の科目を学べるのは、ほんの一握りの子供だけ KCNA-REUTERS

<強制収容所行きは死への「片道切符の旅」、そうでなくても一般家庭には暴力がまん延し逃げ場はない>

厳しい情報統制が敷かれる北朝鮮の市民生活の実態が表に出ることはなかなかない。特に子供や女性という弱い立場にある人々の声が外の世界に届くことは、まずない。

「秘密主義国家」北朝鮮の子供に何が起こっているのか――。国際人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチでアジアを担当するフィル・ロバートソンは英紙エクスプレスに、北朝鮮の子供たちが直面する衝撃的な現実を明かした。

親が犯罪者なら子も強制収容所送り

北朝鮮で「政府の敵」の烙印を押された人々は「管理所」と呼ばれる強制収容所に送られるが、子供を含む家族全員が一緒だ。北朝鮮国内6カ所で確認されている管理所の残忍さは、地球上にある地獄として悪名高い旧ソ連の嬌正収容労働施設「グラーグ」に匹敵するという。

管理所で待ち受けるのは、虐待、飢餓そして死だ。ロバートソンは、収容者が死に至るよう仕向けられた「片道切符の旅」だと指摘する。

収容された子供たちへの虐待は日常茶飯事で、労働も過酷だ。時には致命的に危険な状況での作業を強いられるという。もちろん十分な教育が受けられるはずはない。

女の子はさらに脅威にさらされる。思春期を迎えたころに、管理所の警備員に襲われ強姦されるのが常だ。これは成人女性も同じで、逃げ出そうとしたら年齢問わず酷い拷問にかけられる。

彼らがこのように扱われる理由は単に「国家にとって悪い人間」というだけ。「収容者には、倒れるか殺されるかの選択肢しかない」

いわゆる「普通の子」も強制労働

労働を強制されるのは、管理所の外で生活する子供でさえ同じだ。学校にいる間に労働を課せられていると、ロバートソンは報告する。

「児童が就学する日のうち半分以上は強制労働でつぶされている。岩を砕き運搬する、作物の収穫、木の伐採などの厳しい作業をさせられている」

このような労働は金正恩国務委員長の勅令による国家総動員の活動の一環になることもあるが、大抵は学校職員が強制している。肝心の学習活動は、ほとんどできていない。唯一しっかり取り組むのは、政権の偉大さを擦り込むプロパガンダだけ。金一族の功績や歴史を叩きこまれるのだが、覚えが悪い子には「お仕置き」が待っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国こそが「真の脅威」、台湾が中国外相のミュンヘン

ワールド

米中「デカップリング論」に警鐘、中国外相がミュンヘ

ビジネス

ウォルマート決算や経済指標に注目、「AIの負の影響

ワールド

ドバイ港湾DPワールドのトップ辞任、「エプスタイン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 9
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 10
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 10
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中