最新記事
<ワールド・ニュース・アトラス/山田敏弘>

ケリー首席補佐官が初会見で語った、北朝鮮とトランプ

2017年10月20日(金)18時00分
山田敏弘(ジャーナリスト)

では北朝鮮についてはどうか。今、国際情勢で最も懸念していることは何か聞かれたケリーは、北朝鮮とイランの核脅威だと答え、その上でこう語った。

「おそらく最大の懸念は......差し迫った懸念ではないが。北朝鮮の問題が継続されるなら、そして他の国でもすでにいくつかあるが、核保有国になったら、さらに多くの国が刺激されて核兵器開発や核兵器を購入する可能性がある」

記者から、「対北朝鮮との戦争について、どのくらいの確率で戦争は起きそうか。私たちは戦争が起きる心配をするべきか」と問われたケリーはこう答えた。

「アメリカ人は、かなり有効なICBM能力を作り上げ、かなり良い核弾頭の再突入体を開発している国家(北朝鮮)について心配すべきだ。単純に本国に到達する能力を持たせるわけにはいかないと考えている。これは政権の考えでもある。今、グアムに暮らす多くのアメリカ人について大きな懸念がある」

そしてこう語っている。「今、脅威に対しては、対処が可能だ。だが時間が経てば、今よりも状況が進展したら――まあ、外交がうまく機能することを望もう」

記者会見を通して、また北朝鮮について触れた部分を見ても、少なくともあと数カ月で戦争に突入するような緊張感はない。米メディアもその緊張感をケリーの発言や言葉尻りから感じ取ってはいない。

さらに、ケリーは国務省に期待していると言う。「いい知らせは、偉大な国務省が日夜、外交をやっていてくれていることだ」と皮肉っぽく語り、「ジム・マティス(国防長官)も私も、軍で現役の頃から何度も何度も言ってきた。国務省に十分な予算を与えないなら、もっと私たちに弾薬を買ってくれ、と。世界で国務省と、関係するアメリカ人たちが毎日、仕事をしていてくれる。そして地球上で最も偉大な米軍がいる。物事が軍事的になってしまうと考えたくはないが、それも常に選択肢にはある」

そもそも閣僚があちこちで発言しているように、トランプ政権は対北朝鮮で「外交」による対応を基本路線としている。レックス・ティラーソン国務長官も10月15日に「最初の爆弾が落とされるまで外交的に取り組む」と述べたと報じられている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中