最新記事

法からのぞく日本社会

国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・前編)

2017年10月20日(金)17時23分
長嶺超輝(ライター)

《主な発言》
・2010年7月7日、水戸地裁所長着任会見にて。
「裁判の仕事は、頂上の見えない山を登っていくようなもので、地道にコツコツと取り組むしかありません」

・2007年9月22日、熊本県人吉市で行われた、地元の調停委員を対象にした講演会にて。
「おそらく、戦後の日本では、失敗から学ぶという姿勢が欠けているように思います。失敗すると、根こそぎ試みを否定するような面があります。失敗から学んで辛抱強くやっていくことが大切だと思います」

「本日お集まりの皆さんは、裁判官は赤ちょうちんに行かないなんて言われているけれども、本当は赤ちょうちんが大好きだというのはよくご存じだと思います。......わが国の裁判官は、公正中立で清廉なんですけれども、国民と距離を取るというところがあったと思います。日ごろ、町内に入って、わいわい一緒にお祭りの神輿を担ぐとかいう感じはなくて、ある程度距離を保つというところがあったと思います。裁判官の生活が一体どういうものなのか、生きた裁判官を見た人はあまりいないし、どういう生態かということはほとんど知らないと思います。......裁判官も、法律を知っているだけではなくて、練れた人間になる必要があるでしょうし、タフにならなければいけないでしょう」(『調停時報』2007年12月25日号の記録より)

《主な関与判決》
・情報公開系のNPO法人が学校法人「森友学園」の国有地売却問題で、交渉記録などの電子データの保全を申し立てた件について、抗告を棄却。国は「既にデータは廃棄している」と説明していたが、NPO側は「システム上復元可能なはず」と主張していた。

・厚木基地(神奈川県・自衛隊と米軍が共同使用)を離着陸する軍用機について、深夜早朝の飛行差し止めと、騒音被害の将来賠償を認めた二審判決を破棄。過去分の賠償のみ周辺住民へ支払うよう国に命令(約82億円)。運行の公共性と、国が約1兆円かけて整備した防音対策を重視。

・NHKスペシャル「JAPANデビュー」(2009年放送)の中で、日本の台湾統治時代、1910年開催の日英博覧会に台湾住民の暮らしを写真で展示したことについて、西欧列強が植民地の住人の暮らしを「人間動物園」として紹介したやり方を真似たと伝えた点につき、「深刻な人種差別的意味合いを持つ」ものとした高裁の判断を破棄し、名誉毀損はないと結論づけた(※裁判長でないが、裁判の合議に関与)。

・女性の再婚禁止期間を6カ月から100日に短縮すること、ならびに夫婦で同じ苗字を名乗る制度が合憲であることを確認した大法廷意見に賛同した。

国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・中編/戸倉三郎氏、山口 厚氏、菅野博之氏)
国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・後編/大谷直人氏、木澤克之氏、林 景一氏)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネトフリ株一時9%超上昇、ワーナー買収断念の意向を

ビジネス

今年の米経済は「力強さ増す」、新企業成長で雇用創出

ワールド

米国務長官、3月2─3日にイスラエル訪問 イラン情

ビジネス

米建設支出、25年12月は前月比0.3%増 予想と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石が発見される...ほかの恐竜にない「特徴」とは
  • 4
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 7
    トランプがイランを攻撃する日
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    習近平による軍部粛清は「自傷行為」...最高幹部解任…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中