トランプ政権が海洋保護見直し 対象のエネルギー業界はありがた迷惑
見直し対象とされている他の保護区には、五大湖のサンダーベイ国立海洋保護区や、大西洋のノースイースト・キャニオン・シーマウント海洋国立モニュメント、ハワイ沖や米国領サモア、北マリアナ諸島が含まれている。
ロイターが入手したオフショア掘削の政府リース契約に関するデータは、石油業界がかつてほど資金を投じてオフショア石油開発に投資していないことを示している。新しい掘削技術により、陸上の石油開発がしやすくなったこともその一因となっている。
米国の石油・ガス生産量は陸上での開発ブームのため急増している。米エネルギー情報局(EIA)によると、2016年の生産量は日量885万バレルに達し、10年前の509万バレルから増加している。
「健全なエネルギー経済を維持するのに、海洋や沿岸部の全てで石油を採掘する必要がないことは明らかだ」と、下院の天然資源委員会に属する民主党議員らは7月、保護区の見直しに反対する書簡のなかでこう述べている。
ありがた迷惑
米石油協会(API)や米海洋開発産業協会(NOIA)のような業界団体は、保護区の見直しに支持を表明した。だがそれは、見直しが、石油業界に対する連邦政府の支持を強く示すものであることが主な理由だ。
「安全性や環境保護と、責任あるオフショア開発の推進とのあいだで適切なバランスを見いだすことは可能だ」と、独立系石油協会(IPPA)の広報担当者、ニール・カービー氏は語った。
トランプ氏は、石油業や鉱業を不必要に妨げている環境に関する法律を撤回させ、米国の化石燃料生産を増やすことを公約に掲げて米大統領選を闘った。同氏はこれまでのところ、二酸化炭素排出制限の縮小や連邦政府によるリース契約の制限解除、許認可要件の緩和に向けて動いている。
内務省も8月、これとは別に、広大な保護区を含む全米27カ所の国定記念物に関する似たような見直しを終了したばかり。
内務省は見直し結果としての提言をまだ発表していないが、ワシントン・ポスト紙が入手した資料によると、同省は、エネルギー資源が眠っていたり、水産業や林業のような産業がより広範なアクセスを望んでいる一部国定記念物について、保護対象区域を縮小することを提言する方向だという。