最新記事

北朝鮮情勢

米朝戦争が起きたら犠牲者は何人になるのか

2017年9月28日(木)15時43分
ジョン・ハルティワンガー

大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」号の発射成功を祝う大会(平壌、9月6日) KCNA/REUTERS

<94年に在韓米軍司令官がクリントン大統領に行った報告では死者は100万人とされたが、今ではその比ではない>

アメリカと北朝鮮が戦争をしたら、どのくらい人的被害が出るのか。通常兵器による戦闘でも、膨大な数の死者が出るのは確実だ。

戦争が始まれば、韓国と日本に駐留する米兵、さらにグアム、ハワイなど太平洋諸島にいる米兵と民間人ら、多くのアメリカ人が直接的な脅威に直面する。また、運用能力は万全ではないにせよ、北朝鮮は米本土を攻撃できるICBMを既に開発済みとの見方も強まっている。

94年に韓国駐留米軍の司令官がビル・クリントン大統領(当時)に行った報告によると、北朝鮮との戦争による死者は100万人、経済損失はおよそ1兆ドルに上ると試算されていた。当時より北朝鮮の軍事技術は当時より格段に進歩しており、戦争が起きたら人的・経済的損失はこの比ではない。

ただ、アメリカは北朝鮮の軍事能力を正確に把握できているわけではなく、確実な被害予測はむずかしい。米民主党の議員団は、ジェームズ・マティス米国防長官に予想される犠牲者数を早急に発表するよう求めている。

核戦争の確率は10%

「トランプ政権がアメリカを北朝鮮との暗く血みどろの不確実な戦争に引きずり込む前に、答えを知る権利がアメリカ人にはある」 民主党のテッド・リュー、ルーベン・ガレゴ両下院議員はマティス長官に宛てた26日付けの書簡でそう主張した。

ベテラン議員のリューとガレゴは北朝鮮に対する軍事力行使に反対しており、マティスに30日以内の回答を求めている。マティスに回答する用意があるのか、本誌は米国防総省に問い合わせたが、今のところ返事はない。

北朝鮮の核開発とミサイル実験をめぐり、ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)の挑発合戦はヒートアップしており、「宣戦布告」といった危険なレトリックまで飛び出している。トランプ政権は経済制裁など外交手段による状況打開を模索してきたが、事態はいっこうに動かない。

「第2の選択肢の準備は万端だ。望ましい選択肢ではないが、われわれがそれを選べば、壊滅的な事態になる。北朝鮮にとって壊滅的な事態だ」トランプは26日の記者会見でそう語った。「それは軍事オプションだ。必要とあらば、われわれはそれを選ぶ」

この状況では、通常兵器による米朝戦争が起こる確率はフィフティ・フィフティで、核戦争の確率は10%だと、元米海軍大将ジェームズ・スタブリディスは予想する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ロシア提案の新START延長を拒否 「

ビジネス

米国株式市場=大幅下落、ダウ592ドル安 AI懸念

ビジネス

米FRB独立性の核心は「長期的思考」=アトランタ連

ワールド

イラン、長距離弾道ミサイルを運用配備 軍事方針「攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 6
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 9
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 10
    習近平の軍幹部めった斬りがもたらすこと
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中