もはや常識? 日本の就活に「インターン」がもたらす功罪とは
就職みらい研究所が今年の2月に出した就職白書2017では、新卒採用を実施している企業のうち、2016年度にインターンシップを実施した(調査時点で予定含む)企業は 64.9%(2015年度より9.4ポイント増加)。実施対象に大学1年生、2年生を含む企業もそれぞれ3割ずつ。そして2017年卒の内定者の中にインターンシップ参加者がいた企業は72.5%。インターンシップに参加することが内定獲得に有利という風にも読み取れる。学生の立場なら、焦って、参加することに躍起にもなるだろう。
学生がインターンで得られる価値とは
もちろん、内定を獲得したい企業のインターンに参加できても、希望通りの結果になるとは限らない(稀にお祈りメールを受け取ったことがない人もいると思う)。
では、希望の企業から内定が出なかったとき、インターンに明け暮れた時間に意味があったと思えるだろうか。
企業の実態はこうだ。就職みらい研究所の調査では、インターンの実施目的を問う項目(複数回答可)において、「学生に就業体験の機会を提供することで、社会貢献する」と答えた企業が2014年は74.9%もあったのに対し、2017年には51.1%まで落ち込んだ。つまり、大学生自身の成長といったメリットを目的として掲げている企業は明らかに減っている。
内定欲しさに焦る学生が、青田刈りしたい企業からの選別にかけられ、ただただ彼らの貴重な日々が過ぎ去っていっては参加した学生の時間はあまりにも報われない。
学生が認識すべきこともある
大学生時代の過ごし方や成長は、就職先の決定や就職後の活躍に当然大きな影響を持つ。
大学歴に対する育った家庭の経済状況の影響の大きさは、前回の記事で、すでに明らかになっているが、企業が学生の能力を判断するタイミングが早いほど、家庭の経済状況による内定獲得や内定先企業への影響は大きくなるだろう。大学4年間を成長の機会として、様々な挑戦や取り組みのなかでスキルをアップさせることができれば、こうした構造を抜け出す一つのきっかけとなるかもしれない。
内定以外のもの、つまり成長の機会が得られるとしたらインターンの意味も変わってくるだろう。
そんな内定以外の、学生の成長を目的に謳ったサービスを展開しようとする「企業側」の新しい動きもある。
株式会社リクルートキャリアは今年の5月、大学1年生~2年生向けの長期インターンシップサイトを9月に開設することを発表した。目的としては 自分の持ち味や将来やりたいことを学生に明確にしてもらい、就職活動時のミスマッチを減らすことしている。
株式会社ベネッセホールディングスとパーソルキャリア株式会社(旧株式会社インテリジェンス)、が合弁会社として立ち上げた株式会社ベネッセi-キャリアは、「働くを知る」、「経験を積む」、「オファーを受ける」という3つのステップから構成される新サービスDODAキャンパスを先月スタートさせた(本格稼働は9月)。自己分析や長期有給インターンシップ、オンライン講座、そして採用時のオファーといった機能が含まれている。こちらの目的としても、大学低学年期に対するキャリア支援といったことが掲げられている。
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