政治活動にほとんど参加しない日本の若者
このやり方で、日本の20代(111人)の政治活動スコアを出し、平均値を出すと11.9点となる。同じアジアの韓国(14.6点)やアメリカ(17.6点)と比べるとだいぶ低い。34カ国の20代の政治活動スコアを高い順に並べると<図1>のようになる。
日本は下から3番目に位置している。社会的な統制が強いためか、旧共産圏の2国(ロシアとハンガリー)は日本よりも低い。グラフの上をみると、若者の政治活動が最も活発なのはスウェーデンだ。この国の高福祉は、国民の政治活動の活発さと関係しているのかもしれない。
このスコアは政治活動のレベルを測る総合尺度だが、政治活動といってもいろいろある<表1>。どういう活動の実施頻度で差が出ているのか。主要国を取り出して、詳しく見てみる。<表2>は、それぞれの活動を「過去1年以内にやったことがある」人の割合を国ごとに整理したものだ(表2中の「瑞」はスウェーデンのこと)。
黄色は7カ国の最高値、青色は最低値だが、どの活動の実施率も日本が最も低い。デモや政治活動への参加率はどの国も高くないが、署名活動や商品ボイコットの経験率は欧米と日本ではかなり開きがある。
今は、署名活動はインターネットを使って行うことができる。ネット上での意見表明もできるが、この項目の実施率も日本で3.6%とすこぶる低い。インターネットを介した「現代型」の政治活動にも参加していない。
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日本の若者は、投票行動だけでなく政治活動も不活発であることがわかったが、社会への関心は以前にくらべて強くなってきている(内閣府『社会意識に関する世論調査』)。その思いが、合法的な手段ではなく非合法の手段に向かってしまうとしたら怖い。世界での過激な暴動やテロ、国内のネット上での不法な振る舞いを目にするたびに、そんな懸念を抱く。
社会への関心を熱弁する一方で「デモ」の言葉の意味を知らない学生に会って、筆者は驚いたことがある。社会を変える合法的な政治活動について、公民教育で教える必要があるのかもしれない。
青年はいつの時代も高い理想を掲げ、現実の社会との隔たりを見ては失望し、社会を変えたいという情熱の炎を燃やす。そのエネルギーが正しい方向に向かえば、社会は大きく変わる可能性があるが、それを促すのは大人の役割でもある。
<資料:ISSP「シティズンシップに関する意識調査」(2014年)>