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サイエンスシャチがホホジロザメを餌にし始めた
南アフリカでは、檻に入ってホホジロザメを見るケージ・ダイビングも盛ん Ho New-REUTERS
<映画『ジョーズ』のモデルになったホホジロザメを、シャチが捕食しているらしいことがわかった。それも海岸に打ち上げられた死体からはある臓器だけがきれいにえぐり取られている>
スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ジョーズ』で世界中を震え上がらせたホホジロザメ。海の食物連鎖の頂点に位置するこのサメも、怖いものなしとはいかないようだ。
南アフリカの沿岸部でここ1週間にホホジロザメ3頭の死体が立て続けに見つかり、地元の人々に衝撃を与えている。死体はいずれも肝臓をきれいに噛み取られており、研究者らは「キラー・ホエール」の異名をとるシャチの仕業とみている。
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ホホジロザメがシャチに襲われたケースは少数あるが、この海域では初めて。シャチは獲物を選ばない恐るべき捕食者で、様々な種類のサメ、アザラシ、クジラを食べる。しかし、逆襲に遭う恐れのあるホホジロザメには通常、近づかなかった。
ホホジロザメが悲劇にあったのは、南ア南西部・西ケープ州の小さな港町クレインバイ沖。5月3日以降、海岸に3頭の死体が相次いで打ち上げられた。この地域は檻の中からホホジロザメを間近で見るケージダイビングの世界的なメッカとして知られるが、ホホジロザメの死体が海岸に打ち上げられることはめったになく、これまでの5年間に4頭の死体が発見されただけだ。
今回、新たに見つかった3頭を解剖して調べた結果、シャチに殺された可能性が高いことが分かった。3頭とも肝臓を噛み取られており、1頭は心臓もなかった。サメの肝臓には、ステロイドなどのホルモンの分泌を促す油性物質スクワレンが豊富に含まれている。
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サメを気絶させて襲う
「研究者は皆、沈痛な思いだった」と、解剖を率いたホホジロザメの専門家アリソン・タウナーはブログで述べている。「自然は残酷だ。スクワレン豊富な肝臓だけを外科医のように切り取って、残りは打ち捨てるシャチの抜け目なさを思うと、ショックで声も出なかった」
シャチは高い知能の持ち主だ。世界中で海域ごとに異なる獲物に合わせた狩りの方法を編み出しており、ホホジロザメの襲撃方法を新たに学習した可能性もある。
アメリカでは97年、サンフランシスコ沖のファロン諸島近くでホエールウォッチング中の観光客がホホジロザメを襲うシャチを目撃。その後の調査で、シャチの驚くべき狩りの方法も分かってきている。
シャチはまずサメに体当たりし、サメの体をひっくり返す。多くのサメは、体をひっくり返されると瞬間的に意識を失い、無防備になる。
バハマのビミニ島に研究拠点を置くサミュエル・グリューバーによると、「シャチの学習能力は驚くほど高く」、1頭のシャチがたまたまサメに激突し、サメがひっくり返って動かなくなったら、「それを仲間に教えることも考えられる」という。
シャチの頭脳戦にはジョーズもお手上げだろう。
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