最新記事

ブラジル

知られざるリオ五輪もうひとつの「日本PR」

2017年2月3日(金)18時09分
ケイタブラジル(KTa☆brasil)

それでも私は、なんとか「日伯友好ステージ」のプロデュースに成功した。日本側チームと現地関係者、出演者とが一丸となって、ジャパンハウス全体への集客に役立ち、盛り上がるだけでなく、日伯の真の交流が生まれることを目指した。

ステージMCは私自身と、英語も流暢なブラジル人女性の友人に頼んで2人で務めた。世界的に有名な大御所Arlindo Cruz氏(ブラジルW杯の際に世界同時リリースされた公式CDやリオ五輪公式アンセム曲でも知られる存在)、来日経験もあり世界中で人気のグループMONOBLOCO、2016年のブラジル音楽大賞を受賞したMoacyr Luz e Samba do Trabalhadorをはじめ、これまで私と共演経験があり、信頼関係のある新旧多彩なアーティストたちに出演していただいた。私はポルトガル語で総合MCを担当、同時に演奏で共演した。

brasil170201-3.jpg

結成前からの友人たちによる世界的人気のグループMONOBLOCOともLIVE共演。大盛況だった

brasil170201-4.jpg

2016年のブラジル音楽大賞を受賞したMoacyr Luz e Samba do Trabalhadorの生演奏

他にも、日本語を通じてブラジル人に日本を長年伝え続け、日系人社会への貢献でも知られる日本語教室主宰のIolanda Shitom先生に、リオの日系人社会を代表して登壇し日系人社会の歴史や"RIO2016 to TOKYO2020"にかける思いをスピーチしていただいた。日伯両国に関わってきた面々による日本酒による乾杯のセレモニーも行った。

brasil170201-5.jpg

日本語教室主宰のIolanda Shitom先生(中央、右がMCを務める筆者)がリオの日系人社会を代表してスピーチ

brasil170201-2.jpg

リオ市、リオの日系人社会を代表する面々と日本酒で乾杯(左から、MCの女性、Rio Nikkei Taiko代表のマリオ氏、Império Serrano代表のVera Lúcia氏、Iolanda Shitom先生、筆者)

また、リオの日系和太鼓グループと、1970年代から日本と最も深く長い関係を持つ名門サンバチームImpério Serrano(インペーリオ・セハーノ)とが、和太鼓とサンバの打楽器とを取りかえた夢のライブセッションも企画した。企画段階では日本の制作関係者は賛同していなかったが、本番は成功して大好評となり、今回プロデュースした日伯交流ステージのハイライトになったと思う。

Courtesy of FOCO2 Jeanine Gall


競技以外はネガティヴな報道ばかりだった

現場スタッフチームによる大きな尽力もあり、結果的に成功したが、日本側のブラジルでの経験や理解、準備不足によるドタバタも少なくなかった。それは、日本とブラジルを結びつける実績やノウハウのある人材が日本の業界で認知・評価・登用されていなかったこと、また途切れてしまっていることが原因ではないだろうかと感じた。

例えば、日本航空などで長年にわたり政財界はもとよりスポーツや音楽など文化面でもリアルな「日伯人間関係」を創出し続けた実績で慕われる吉村恭吾氏や、日本の国策でブラジル移住が行われた時に設立された伝統ある代理店、海外移住旅行社で文化的な現場を繋いで活躍した稲垣達也氏をはじめ、国境や世代を越えた人徳とノウハウを兼備した面々が、かつての日伯交流の現場にはいた。そうした大ベテランや彼らの後継者が今回のプロジェクトには紹介されなかったことが少し残念だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中