最新記事

映画

『ローグ・ワン』全米興業で首位、中国の若者にはウケず

2017年1月17日(火)14時55分
トゥファイエル・アーメド

世界的にも首位をうかがう『ローグ・ワン』だが Rogue One Trailer / YOUTUBE

<『ファインディング・ドリー』を抑えて首位の『ローグ・ワン』は、なぜ中国の若い世代にウケないのか>

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が、2016年の全米年間興行収入で『ファインディング・ドリー』を抜き、首位に躍り出た。

 米ボックス・オフィス・モジョによると、『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ作品である同作は、1月13~15日の3日間でさらに1330万ドルを稼いだ。先月16日の公開以来、5週目にして国内興行収入は4億9880万ドルに達し、公開から1カ月で5億ドルを超える見込みだ。

【参考記事】キャリー・フィッシャー死去、でも「2017年にまた会える」
【参考記事】「ハン・ソロとレイア姫」の不倫を女優本人が暴露

 昨年6月に公開されたディズニー/ピクサーのアニメ映画『ファインディング・ドリー』の興行収入4億8600万ドルを上回った。

 ディズニーにとっては朗報だ。2016年の年間トップ5のうち、4タイトルをディズニー系が独占した。

 3位はディズニーのマーベル・スタジオが製作した『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』。2016年年間で4億800万ドルだった。

 ディズニーのアニメ映画を実写化した『ジャングル・ブック』は3億6400万ドルを稼ぎ5位にランクイン。4位に食い込んだユニバーサル・スタジオのアニメ映画『ペット』が3億6800万ドルで、僅かに及ばなかった。

 世界興行収入では、10億1500万ドルを稼いだ『シビル・ウォー』が現時点で首位だ。ただし全米や世界で公開中の『ローグ・ワン』の興行収入はすでに9億8000万ドルに達しており、『シビル・ウォー』を追い抜く可能性がある。

北京プレミアまで開催したのに

 気になるのは、ディズニーとルーカスフィルムが製作し2015年12月に公開された前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に比べると、中国で『ローグ・ワン』が不振な点だ。中国で知名度のあるドニー・イェンとチアン・ウェンの2人の中国人俳優を起用したうえ、彼らの宣伝用にわざわざ北京プレミアまで開催したにしては、盛り上がりに欠けている。

 米誌バラエティによると、『ローグ・ワン』の公開から2週間の中国での興行収入は5270万ドル。『フォースの覚醒』は初の週末だけで5320万ドル、最終的に1億2400万ドルを稼いだ。

【参考記事】米英メディア、『フォースの覚醒』先行上映の映画評(ネタばれなし)

 あるアナリストがハリウッド情報サイト「TheWrap」に語ったところ、中国で『スター・ウォーズ』の興行成績が振るわない原因の1つは、1970~80年代に公開されたオリジナル・トリロジー(旧3部作)が中国では上映されなかったから。ジョージ・ルーカス監督のSFサーガに馴染みがある映画ファンはそれほどいないわけだ。(ただし1999~2005年に公開されたプリクエル・トリロジー[新3部作]は中国でも公開された)

【参考記事】3分でわかるスター・ウォーズ過去6作の物語

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中