最新記事

トルコ

トルコという難民の「ダム」は決壊するのか

2016年11月30日(水)17時30分
望月優大

 しかし、いま起きていることはそれとは真逆の動きであるように見える。

 トルコはEUだけが選択肢ではないということをあからさまに発言するようになり、EU側もそれに応じてトルコを仲間に加えることを諦める兆しを見せ始めている。未来のことを予測することは難しいが、世界で起きている変化の流れを理解しようとすることはできる。

 トルコのダムが決壊しないという保証はどこにもない。私たちの暮らしや価値観が拠って立つ基盤は想像以上に脆く、日々動揺している。だから、常に見て、考え続ける必要がある。


○参考文献
欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界 (中公新書):遠藤乾
ユーロ危機、難民危機、安全保障危機、イギリスEU離脱という4つの複合危機としてヨーロッパの危機を捉え説明する稀有な一冊。非常に勉強になる本。

難民問題 - イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題 (中公新書) :墓田桂
やや保守的な論調にときたま違和を感じることもあるが、現在発生している難民問題にまつわる様々な事実や論点を一気に勉強にするには最適の一冊。

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書):池内恵
民族や難民という視点でトルコの歴史を振り返るのに最適な一冊。池内先生の著書はどれもおすすめ。

[プロフィール]
望月優大
経済産業省、Googleなどを経て、現在はIT企業でNPO支援等を担当。慶應義塾大学法学部政治学科、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(後期フーコーの統治性論・新自由主義論)。様々なNPOの広報支援に携わりつつ、国内外の社会的テーマに関するブログを更新中。特に貧困・社会保障、移民・難民問題、ナショナリズム・国家論など。1985年埼玉県生まれ。
ブログ:HIROKIM BLOG / 望月優大の日記
Twitter:@hirokim21


※当記事はHIROKIM BLOG / 望月優大の日記からの転載記事です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平「断念せず」 引き続き関

ワールド

トランプ氏、27日にアイオワ州訪問 演説で生活費高

ワールド

ロシアとの高官協議、来月1日再開の見通し=ゼレンス

ワールド

トランプ氏、ミネソタ州知事と協議 地裁は移民摘発停
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中