ロボットはネット通販を支える配送センターに革命をもたらすか
inViaの提供するサービスには、ロボット管理システムも含まれており、ワークフローをリアルタイムに変更することで待機時間を最小化できる。
また、「小売でない業界のロボット運用のいくつかの課題も対処可能だ」と、エラザリー氏は語る。
「これは、デバイスにロボットアームをつけただけのものではない。グリップデザインにより、さまざまなものを掴むことができるようになっている。倉庫にあるもののうち、小さなネジやケーブルなど20%程度のものはまだ掴めないが、その場合は梱包場で作業している従業員に連絡がいくようになっている。
また、今回のロボットシステムにおいては、ロボットが1台だとしても取ってこられるようにした。実際のほとんどのオーダーは、たいてい1〜3個のものが多いためである。
他の課題としては、ロボットの導入コストに見合うほどのパフォーマンスを担保できるシステムを構築しなければならないという点があった。だが、AIや視覚センサーを活用した、非常に投資効果の高いプラットフォームを利用することで、短期間のうちに課題を克服できたのだ」
倉庫業者にとっても、これはありがたい話である。エラザリー氏は次のように語っている。「倉庫をよりコントロールできるような、柔軟性のあるシステムを構築できた。ロボット1台から導入が可能で、季節のニーズによって台数を増減させることもできる」
同社のソリューションはRobotics as a Service(RaaS)として利用可能であり、初期投資を最小限に抑えることで、より多くの企業がロボティクスによる生産性の向上の恩恵に与ることができる。
また、ロボット1台毎の月額課金制のため、変動するニーズに合わせたスケールアップ、スケールダウンが可能になっている。このシステムのおそらく最大のポイントは、基本的に物理的環境の再構成なしで、あらゆる工場に導入可能なところだろう。
「人々が工場の構成を一からやり直すことなく、システム構築をすばやく行い、すぐに使えるようにすることが我々の目標だ。これまでほとんどのロボット企業は、完全に一から工場を作り上げることだけを対象にしていた。しかし、我々はロボットを導入するためのインフラ投資に何百万ドルもかかるようなシステムを作るのではなく、稼働している工場およびそのフローを対象に、モノの流れを変えるようなシステムを作りたいと考えた。これには、万が一あるロボットが動かなくなっても、そのロボットを導入するために製造ラインを新たに入れなければならない場合よりもずっと、他の部分への影響を抑えられるという利点もある」