最新記事

ハッカー

サイバーテロが浮き彫りにしたIoT時代のネットセキュリティ

2016年10月28日(金)18時15分
ライアン・マシュー・ピアソン ReadWrite[日本版]編集部


IoTで問題を解決する

 IoTという新たな世界の誕生により、これまでとはまったく異なる類の問題が発生しており、セキュリティ専門家たちはここ数年にわたってこの問題の解決に取り組んでいる。シンプルに使えるものを、どうすれば安全にできるだろうか? シンプルさとセキュリティは、おいそれと両立できるものではない。IoTデバイスには、より堅固でアクティブなセキュリティ機能をオンボードで持つ必要があるだろう。

 米国司法省は、先月セキュリティ脆弱性のあるIoT技術について警告を発したところだ。Dynへの攻撃が発生する数週間前のことである。DDoS攻撃は、ハッカーたちがシステムに入り込み、そのデータを使い物にならなくするようなものではない。しかし、「無数にある世界中のネットワークにセキュリティの欠陥が存在する」という現実を照らしだした。

 多くのIoTデバイスは、マルウェアにより陥落させられる可能性がある。つまり、そのデバイスと同じネットワークにいる家のPCや企業のサーバ、政府のデータもその影響を受けることがあり得るということだ。これは、たとえば家のスマート歯ブラシが政府への大規模なメールハッキングの片棒をかつぐ可能性があるということだろうか? それは無いかもしれないが、それが政府のネットワークに接続されるべきものではないのは確かだ。

 ユーザたち自身も大きな問題点となっている。平均的なユーザに、手持ちのPCを常に最新状態に更新しておくよう仕向けるのは難しい。トースターのシステムを定期的にアップデートさせるというのは見込みのない試みだろう。

 そうなると、残った解決方法にはその場しのぎの苦しいものしかないことに気付く。たとえば、「なにかをネットに繋ぐ前にもう一度考え直しましょう」などだろうか?

混乱のIoT時代を生きる

 だが、極端に考えないことも大切だ。素晴らしいIoTデバイスは世の中に多くある。個人的に、自動運転車のメリットは多いと考えているし、スマートテレビのない生活など考えられない。

 問題は、現在のIoT世界が氾濫状態にあることである。多くの企業が、われ先にとあらゆるモノをインターネットの一部にしようとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウニクレディト、BPM株買い付け28日に開始 Cア

ビジネス

インド製造業PMI、3月は8カ月ぶり高水準 新規受

ワールド

中国軍が東シナ海で実弾射撃訓練、空母も参加 台湾に

ビジネス

ユニクロ、3月国内既存店売上高は前年比1.5%減 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中