最新記事

米大統領選

極右を選対トップに据えたトランプの巻き返し戦略

2016年8月18日(木)18時08分
ジョシュ・ブアヒーズ

「トランプはトランプらしく!」――バノンの起用は、マナフォートの前任者ルワンドウスキが推し進めていた戦略への回帰を意味する。ポール・ライアン下院議長やミッチ・マコネル上院院内総務ら共和党主流派はこの戦略を嫌っている。イラクで戦士した米兵の遺族であるカーン夫妻を侮辱するなどトランプの暴走に頭を抱えている共和党主流派にとって、バノン起用は「悔い改める気なし」というトランプの挑戦状だ(共和党全国委員会はトランプ陣営への資金援助の差し止めを検討していると伝わる。もしそうなれば、トランプも考えを改めるかもしれないが)。

【参考記事】戦死したイスラム系米兵の両親が、トランプに突きつけた「アメリカの本質」

 バノンがどんな人間か政界ではよく知られている。海軍の将校でゴールドマン・サックスで投資銀行業務を行った経験があり、人気コメディー『となりのサインフェルド』に出資して財を成したとされる。ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌は昨秋、バノンを特集で紹介した。そのタイトルは、「この男はアメリカで最も危険な政界の仕掛人」。

 バノンはブレイトバートで政界エリートを叩いてきただけではない。フロリダ州のNPO「政府説明責任研究所」の共同設立者として反クリントン・キャンペーンを展開してきた。この研究所が世に問うたのが『クリントン・キャッシュ』だ。クリントン夫妻がクリントン財団という慈善団体を通じて外国政府や企業から巨額のカネを集めたカラクリを暴いた調査報告書には杜撰な記述もあるが、資料としての価値はある。この報告書は昨年出版され、映画化されて幅広い層に衝撃を与えている。

 ありのままの「正攻法」で攻めるという決意でバノンを雇い入れたトランプは、昨日までのトランプより手強くなるのだろうか。

© 2016, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、黒海の石油施設に被害 ウクライナが無人機攻

ビジネス

中東戦争でインフレ加速・成長鈍化の恐れ、世界成長の

ワールド

トランプ氏、日本など名指しで非難 対イラン軍事作戦

ワールド

トランプ氏、イラン「一夜で壊滅」も 7日までの合意
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 4
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 5
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 6
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 7
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 10
    スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のア…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 3
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中