石炭ブーム終焉で中国の地方を襲う地盤沈下、膨らむ経済負担
公式データによると、2014年末までに、炭鉱による地質学的災害はすでに2万6000件に上る。また、1万平方キロメートルに及ぶ土地が影響を受けており、これはアフリカのガンビアと同程度の大きさだとする一部試算もある。
中国の国土資源省は先月、全国各地にある炭鉱跡地の回復や採鉱廃棄物の処理に、向こう5年間で750億元を投じることを明らかにした。
中国の石炭ブームが終焉(しゅうえん)を迎えた後、同セクターは需要減と過剰債務、そして長期にわたる価格下落に直面している。それと同時に、環境的側面にかかる費用も増加している。
恩恵から負担へ
鉄鋼など中国の他の基幹産業と同様に、石炭部門では、需要の伸びが減速し、国がよりクリーンなエネルギーを促進するなかで、年間約20億トンもの過剰生産能力があると推定されている。
中国は今年だけでも、約1000カ所の炭鉱を閉鎖する計画で、その多くはHelin村のような住宅地にある。同国は2020年までに、エネルギー消費全体に占める石炭の割合を62%にまで削減する計画だ。
ブームのころは価格も収益も右肩上がりで、炭鉱会社はより深く掘ることを奨励され、採掘範囲も住宅地や農地にまで及んだ。
大きな国有炭鉱会社がしばしば村全体を他の場所に移住させる一方、目先の利益を追い求める小さな民間炭鉱会社は、地域社会の地下や周辺を掘り進めていった。炭鉱による税収は急増し、地方政府は業界に対する規制強化には消極的だった。
石炭業界は、孝義市で見られるような建設ラッシュに一役買っており、税収によって地方政府の財源を潤わせ、市内にはほとんど入居者のいない豪華マンション群が建ち並んでいる。
かつて地方政府にとって恩恵であったものが、今では負担となっている。孝義市政府によると、同市は地盤沈下に対処するため、すでに60億元以上の費用を投入。隣の呂梁市と共に、孝義市は2014─17年に約23万人を移住させる計画だという。