最新記事

中国

石炭ブーム終焉で中国の地方を襲う地盤沈下、膨らむ経済負担

2016年8月17日(水)18時22分

 公式データによると、2014年末までに、炭鉱による地質学的災害はすでに2万6000件に上る。また、1万平方キロメートルに及ぶ土地が影響を受けており、これはアフリカのガンビアと同程度の大きさだとする一部試算もある。

 中国の国土資源省は先月、全国各地にある炭鉱跡地の回復や採鉱廃棄物の処理に、向こう5年間で750億元を投じることを明らかにした。

 中国の石炭ブームが終焉(しゅうえん)を迎えた後、同セクターは需要減と過剰債務、そして長期にわたる価格下落に直面している。それと同時に、環境的側面にかかる費用も増加している。

恩恵から負担へ

 鉄鋼など中国の他の基幹産業と同様に、石炭部門では、需要の伸びが減速し、国がよりクリーンなエネルギーを促進するなかで、年間約20億トンもの過剰生産能力があると推定されている。

 中国は今年だけでも、約1000カ所の炭鉱を閉鎖する計画で、その多くはHelin村のような住宅地にある。同国は2020年までに、エネルギー消費全体に占める石炭の割合を62%にまで削減する計画だ。

 ブームのころは価格も収益も右肩上がりで、炭鉱会社はより深く掘ることを奨励され、採掘範囲も住宅地や農地にまで及んだ。

 大きな国有炭鉱会社がしばしば村全体を他の場所に移住させる一方、目先の利益を追い求める小さな民間炭鉱会社は、地域社会の地下や周辺を掘り進めていった。炭鉱による税収は急増し、地方政府は業界に対する規制強化には消極的だった。

 石炭業界は、孝義市で見られるような建設ラッシュに一役買っており、税収によって地方政府の財源を潤わせ、市内にはほとんど入居者のいない豪華マンション群が建ち並んでいる。

 かつて地方政府にとって恩恵であったものが、今では負担となっている。孝義市政府によると、同市は地盤沈下に対処するため、すでに60億元以上の費用を投入。隣の呂梁市と共に、孝義市は2014─17年に約23万人を移住させる計画だという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、今月初めの米軍による攻撃で兵士47人死

ワールド

EU、重要インフラでの中国製機器の使用を禁止へ=F

ワールド

イラン抗議デモ、死者3000人超と人権団体 街中は

ワールド

韓国、米のAI半導体関税の影響は限定的 今後の展開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 8
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 9
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 10
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 6
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中