最新記事

報道

ジャーナリストへの情報提供者に忍び寄るベネズエラ諜報機関

2016年8月3日(水)18時00分
野田 香奈子

 NGOエスパシオ・プブリコの代表カルロス・コレアは、これをより大規模な反ジャーナリストの流れの一部だと見ている。


"最近では、治安部隊がリポーターの携帯を取り上げ、プライバシーを侵害してリポーターの取材した内容を消去して仕事をさらに困難にすることは当たり前になっている。憲法で定められた権利がまったく尊重されない。このようなハラスメントがはびこる中でジャーナリストの仕事はますます困難になっている。

 適正な捜査手続きを踏まえない違反だけでも十分気がかりだが、この問題が実際にあらわにしているのは、明確に憲法28条で保護されているジャーナリストの情報提供者を守る義務への明らかな迫害だ。しかもそれだけではない。ジャーナリストの倫理規定では、ジャーナリストは「いかなる状況においても職業上の秘密を暴露してはならない」と定められている。

 倫理規定18条はその点について「ジャーナリストは、情報提供者がその身元を隠すことを要求した場合、いかなる状況においてもそれを明らかにしてはならず、情報提供者の判断を尊重し、あらゆる圧力を拒絶しなければならない」と明確に示している。

 政府の反応はどうだろうか?護民官(人民オンブズマン)タレク・ウィリアム・サアブは事件に対しては反対、ただしジャーナリストの情報提供者保護の原則については賛成の立場を示した。他方、ディオスダド・カベジョ*は自らのテレビ番組の中で、当局への協力を拒むジャーナリストたちを攻撃した


"情報源を暴くために数人のジャーナリストを違法に拘束したと言われる件で、不満の声があがっていますが... このテロとヘイトスピーチの時代、考え直してみるのも重要でしょう。第一に、ベネズエラのジャーナリストが国家や国家機関の安全保障に関わる捜査に協力を求められているときに、いったいジャーナリストの情報源の秘匿はどこまで可能か、という点。第二に、人々の一般的な利益がかかっているようなケースではジャーナリストの責任はどうなるのか、という点。第三に、他の人々の命に関わるような事件において、ジャーナリストが情報源の秘匿を理由に情報を提供しないことが本当に義務といえるのか、という点です。単なる思いつきですがね。

おぉぉ、この人に倫理について説教されるとか、最高だね!

*訳注 ディオスダド・カベジョは現在は政府の重要ポストにはついていないが、ベネズエラ政府の影のドンともフィクサーとも言われ、麻薬密売組織「太陽のカルテル」の主要人物と目されている。


※当記事は野田 香奈子氏のブログ「ベネズエラで起きていること」の記事を転載したものです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月実質消費支出、前年比-2.6%=総務省

ワールド

対ロ追加制裁、和平交渉の行方次第=米財務長官

ビジネス

仮想通貨急落で保有企業の株価軒並み値下がり、ストラ

ワールド

衆院選8日投開票、自民大勝なら円安・金利上昇の可能
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 9
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中