ポケモンGOは長く愛される「本物のコミュニティ」を築けるか
ポケモンGOが地元の企業にとって有益な理由とは
先ほど話したショッピングセンターのことを思い出してほしい。そこではこのアプリが商売にも大きく貢献している。暑い日に冷たいものを求めて人が集まる人気のアイスクリーム店 Amy's Ice Creamsは、プレイヤーたちでいっぱいになっていた。ここがポケストップになっていたからだ。
店主やプレイヤーたちは、ルアーと呼ばれるピンクのバーチャルデバイスを購入することができ、これによってその近辺にいるポケモンを30分ほどその場に留めることができる。これにより、その場にいればより効率的にポケモンを捕まえることができるわけだ。
いまのところ企業が自社の関連する場所をポケストップにする道はないのだが、そのそばにあるだけでもプレイヤーたちに対して休息を取れる場所として大きくアピールすることができるだろう。マーケティング的な観点で言えば、プレイヤーたちが行くであろうところにおもむき、一本の水と共に名刺か自社製品のクーポンを手渡すといったことも考えられる。
ともあれ、これでプレイヤーを家から引きずり出すのに成功するわけだ。
ポケモンGOが"本物のコミュニティ"を築くまで
ポケモンGOが防犯に役立ったという例はすでにある。犯人をモンスターボールで捕まえたというわけではないのだが、このゲームにより犯罪を現場で防ぐことができたケースだ。
米海兵隊のベテラン二人が地元の公園でゲームをプレイしてる時、彼らは母子に嫌がらせをしている男に気付いた。その男は親子連れに次々と嫌がらせをしていったのだが、いよいよ子供に手をかけようとした時、彼らはその男を追い払い警察に報告を入れた。
警察が到着したとき、その男は殺人の容疑者として捜索中だった人だということがわかったという。
"互いが同じものに対し関心を持つコミュニティ"というものは、言うまでもなく健全なものだ。このシンプルなARゲームによって、これまで一人でいたか限られたグループとの付き合いしかなかった人も新しい付き合いを見付けられることだろう。
ポケモンGOが長く愛されるゲームになるか、ただの一時的なブームで花火のように散るか、いずれわかることだろう。現在リリースを控えている、ポケモンGOジムの側に来た時や、ポケモンがいたらアラートを出すウェアラブルの存在は、この祭りの始まりを意味するものなのかもしれない。
世界中で楽しまれると同時に、新たな問題を引き起こしてもいる『ポケモンGO(Pokémon Go)』。アメリカではついに死亡事件まで起きた。先日リリースされた日本では、まだ大きな事件は起きていないが、小さな問題はポツポツと出てきているし、早くもあまりの盛り上がりに対して「もう冷めた」と言い出す人も出てきている。
今後の改善は必須だが、上記に挙げたように多くのいい影響を社会に起こしており、特に、運動不足の人や外に出るのを躊躇っていた人が家の外に出るキッカケを生んだという事実は、大変素晴らしいことだろう。どうか「ひと夏の思い出」にならないでほしい、と切に願う。