アメリカでのISIS関連事件、主流は「一匹狼」よりチームタイプ
12月にサンバーナーディーノで14名が殺害された事件では実行犯が夫婦であったように、共犯者同士がもっと親密な関係であるケースも見られる。
FBIのおとり捜査員と気づかずに協力してしまい、起訴される被告も増えている。潜在的な攻撃者を特定するにあたって、連邦当局がソーシャルメディアに比較的分かりやすいエサをまくよりも、現場の捜査員による情報活動に頼る比重が増えているためだ。
専門家によれば、直接顔を合わせることによって過激主義的な傾向が加速され、グループが暴力的行動に向かう場合があるという。また、こうした接触によって、本来であればジハード(聖戦)主義の魅力になど影響を受けなかったであろう人が引きこまれてしまうこともある。
ブランダイス大学で過激主義の研究を専門とするジッテ・クラウセン教授は、「本当の一匹狼は通常、精神に障害がある。だがジハード主義者のなかで真の精神障害者は非常に少ない」と語る。
専門家のなかには、ネット上のプロパガンダは、「火をつける」というよりも、すでに燃えている火を「かき立てる」だけという見方もある。
「Match.comのような(恋人探し)サイトが、利用者同士がまったく会えないように作られていたらどうだろうか」と語るのは、ノースイースタン大学で過激主義組織を研究するマックス・エイブラムス教授。「実際に直接会うことに代わる関係構築など存在しない」
<不安に「つけ込む」>
グループのあり方が重要な役割を果たしていることを示す事件の1つが、ニューヨーク地域の6名の被告をめぐる件である。
検察官によれば、ネイダー・サアデ被告と友人であるニューヨークシティ大学の学生ミュンター・オマル・サレー被告は、2013年に、世界の終わりが近づいていると確信した。