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インダストリー4.0やIoTが生み出す付加価値とは

2016年6月24日(金)16時55分
WORKSIGHT

デジタルバリューチェーンへの参画は死活問題

 もう1つ、欧米とアジアの関係を俯瞰すると、コア領域を守るビジネスモデルの存在が浮き彫りになります。例えば、なぜiPhoneが高い利益率をアップル社にもたらすことができるかといえば、他が真似できないソフトウェアの部分をコア領域として知的財産権で厳重に守っているからです。だからこそオープン化で人件費の安いアジアの企業をパートナーとして製造を委託できるわけです。

 また、この状況を裏返してみると、調達や製造、流通などがつながったバリューチェーンが確立していることが分かります。アジアの企業にとって欧米のメーカーが組織するデジタルバリューチェーンに参加できるかどうかは死活問題です。今までのバリューチェーンに参加していた企業も、デジタル化が遅れれば得意先企業が構築するデジタルバリューチェーンからはじき出されてしまうでしょう。それは収入を絶たれることを意味します。従って、欧米企業のデジタル化の動きに乗り遅れまいと、中国や新興国は真剣にアンテナを立てていると見られます。

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各地のスマート工場をつなげたデジタルバリューチェーンへの参加は新興国メーカーの生命線といえる。(『決定版 インダストリー4.0――第4次産業革命の全貌』(尾木蔵人、東洋経済新報社)p.78の図を元に作成)

 インダストリー4.0はドイツ発のモノづくりの革新プロジェクトだけれども、世界の国々がそこに歩調を合わせようとしているのです。日本も積極的にこの動きにシンクロナイズして独自の強さを生み出していかないと大きなリスクになるでしょう。

 今まさに世界規模でルールチェンジが行われつつあるのです。大変なビジネスチャンスであると同時に、何もしないでいればどんどん引き離されるばかりか、後退にさえつながりかねません。日本も中国と同様、少子高齢化という課題を持ち、国内のマーケットは縮小傾向にあることはみなさんご存知の通りです。ここで日本の産業界がベストマッチングなエコロジーの世界に向けてスマートなモノづくり、スマートなサービスを提供できれば、日本の製造業は大きく発展できると私は思っています。

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アジア的な親しみと高い技術力を備えた日本に注がれる期待の目

 そもそも日本はドイツに勝るとも劣らない高い製造技術を誇っています。そこは1つの強みでしょう。優れたモノづくりの技術とソフトウェアをうまく融合すれば、スマート化やIoTの世界で際立つことができるはずです。

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