最新記事

キューバ

キューバ系アメリカ人を乗せない客船が象徴するカストロ抑圧体制

2016年4月19日(火)17時00分
マイク・ゴンザレス(米ヘリテージ財団上級研究員)

 キューバ政府は、本人やその親の出生地がキューバであれば、たとえアメリカ国籍を持っていたとしてもその個人はキューバ国民だといっているのだ。キューバ政府はアメリカに帰化する個人の選択を認めないばかりか、アメリカで生まれた子どもにはアメリカ国籍が与えられるという権利も認めていない。カストロやその取り巻きの考えに従えば、キューバ人やその子孫はキューバに属し、キューバ国籍を放棄し自由の身になることは不可能ということになる。

カーニバル社には社会的制裁を

 キューバ政府はまた、キューバ生まれの海外居住者は船でキューバに入国することができないと定めている。だからカーニバルは、キューバ生まれのアメリカ人の乗船を拒否しているわけだ。

 カーニバルを訴えた場合、勝訴の可能性は?

 カーニバルの対応が、1964年に成立した公民権法に違反するかは不透明だ。同法では、アメリカの「公共の宿泊施設」における「人種、肌の色、宗教、もしくは出身国」による差別を禁じている。

 マイアミではすでに、連邦裁判所へ訴訟が起こされている。今後の争点は、公民権法が海外でも適用されるかどうかだが、乗客はアメリカで乗船することから、同法が適用されるという見方が大勢だ。

 カーニバルの方針が公民権法の精神に反していることは明白なので、問題はむしろアメリカ世論の動向だろう。カーニバルは社会的制裁を受けるべきだ。キューバ人の両親を持ち、自身はアメリカで生まれたボブ・メネンデス上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は、以下のように述べている。



 キューバビジネスの儲けに目がくらんだアメリカ企業が、アメリカ国民の市民権を踏みにじるカストロ政権と取引するなど、これまで思いもよらなかったことだ。カーニバルは過ちを犯してはいけない。キューバ系アメリカ人を差別することで、カストロ政権の抑圧的な手法をアメリカ本土に広げることがあってはならない。

 カーニバルとカストロ政権の「愛のボート」は法廷行きだ。

Mike Gonzalez is senior fellow at The Heritage Foundation

This article was originally published on The Daily Signal.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

不明兵捜索、時間との戦い イランの猛攻耐えた米軍救

ワールド

トランプ氏、イランに合意期限「6日」 米戦闘機乗員

ワールド

米、イランで不明の戦闘機乗員救出 トランプ氏「史上

ワールド

イラク南部の巨大油田に攻撃、3人負傷 イラン国境に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 6
    イラン戦争は「ハルマゲドンの前兆」か? トランプ…
  • 7
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 8
    【写真特集】天山山脈を生きるオオカミハンター
  • 9
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 10
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中