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宇宙開発NASAの選んだ近未来技術──平面宇宙船に、微生物を使ったリサイクルまで
イノベーティブで先端的なコンセプトを募集し、支援するプログラム
数年後に実用化? Siegfried Janson氏が提案したのは「Brane Craft」という膜状の宇宙船
NASAは、NIACというプログラムを毎年開催している。NIACとは、NASA Innovative Advanced Conceptsの略。イノベーティブで先端的なコンセプトを募集し、それが実現できるものであれば経済的な支援も行うというプログラムだ。
NIACは2段階になっており、フェーズ1を通過したコンセプトは10万ドルの資金と9か月の期限で初期調査を行う。実現性が評価されたコンセプトはフェーズ2へと進み、今度は2年の開発期間と50万ドルが与えられる。
2016年4月には、フェーズ1を通過した13のコンセプトが発表されたので、このうちいくつか紹介していこう。
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Aerospace社のSiegfried Janson氏が提案したのは「Brane Craft」という膜状の宇宙船。機体が軽いため出力重力比が極めて高く、エレクトロスプレー(イオン液体に電圧をかけて噴射するエンジン)を使えば、地球低軌道を出発し、火星の衛星フォボスに着陸、さらに地球の低軌道に戻ってくることも可能だという。推進剤は2枚の膜の間に貯蔵される。
Brane Craftの用途として考えられているのは、地球低軌道上のデブリ(宇宙ゴミ)の除去だ。Janson氏は、Brane Craftを使うことでデブリを極めて安価に掃除できると考えている。
一方、NASA Ames Research CenterのLynn Rothschild氏が提案しているのは、微生物を使った宇宙でのリサイクル手法だ。
現在、宇宙では、エレクトロニクス機器が壊れたら代わりの機器を地上から打ち上げるしかない。Rothschild氏のアイデアは、この使用済み機器から「バイオアーバンマイニング」によって金属を抽出して、再利用しようというもの。
廃棄された家電製品などのゴミに含まれる有用資源は「都市鉱山(アーバンマイン)」と呼ばれるが、微生物の力によって都市鉱山を利用する手法をバイオアーバンマイニングという。人工的に強化された微生物を使ってエレクトロニクス機器を分解し、銅などの資源を抽出。これをインクとして使い、新しいエレクトロニクス機器を印刷技術によって作ろうというわけだ。
いずれもトンデモなコンセプトに聞こえるかもしれないが、すでに存在する技術をベースに発案されており、実現可能性が高いとNASAによって判断されたものである。
さて、数年後に実用化されているのは、どのコンセプトだろう?