南シナ海「軍事化」中国の真意は
そしてウッディー島には、何十年も前から中国軍の基地がある。紅旗9地対空ミサイルや殲11戦闘機の配備も、今回が初めてではない。
配備は恒久的なものか
米太平洋艦隊のスコット・スウィフト司令官が語っているとおり、中国は過去に少なくとも2回、この島に紅旗9地対空ミサイルを配備している(いずれも軍事演習の一環だったが)。殲11戦闘機も、直近では昨年11月に飛来している。
問題は、今回の配備の背景にある事情だ。「特に新しい展開ではないが、いったい中国側の意図は何なのか。いつまで配備を続けるつもりなのか。そして、これら兵器システムの前方配備は恒久的なものなのか。それが問題だ」と、スウィフトは断言する。
アジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)の専門家らが先に発表した分析で触れているが、紅旗9地対空ミサイルが配備される以前から、ウッディー島には複数の軍事施設が存在し、対空戦闘能力があったと考えられる。「同島には以前から2700メートルの滑走路、レーダーや航空機の格納庫があり、防空の備えがあった」とAMTIは指摘している。
もちろん、今回の新規配備を軽視していいと言うつもりはない。もしも最新鋭の兵器システムの前方配備が恒久的なものであれば、それは南シナ海における人民解放軍の戦闘能力(接近阻止能力を含む)の向上を意味する。
だがもっと重要なのは、ウッディー島での最近の動きから、中国が今後、南沙諸島の新たな拠点でどんな行動に出るかを読み取れるかもしれない点だ。AMTIも指摘するように、結局のところ「ウッディー島は南沙諸島、特にファイアリークロス礁、ミスチーフ礁、スービ礁における中国の進出の先行モデル」と言える可能性が高い。
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西沙諸島と南沙諸島では、軍事化の意味が異なる点も見逃してはならない。米戦略国際問題研究所のボニー・グレーザー上級研究員が言うように、中国は「ずっと前に」西沙諸島を軍事化しており、「今は最新鋭の装備を導入している」段階だ。
一方の南沙諸島では、中国は「軍事用にも民生用にも利用できる設備を『公共財であり、防衛だけが目的』と言い逃れしながら大量に建設している」と、グレーザーは指摘する。
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南シナ海を「軍事化する意図はない」という習の発言は、特に南沙諸島について述べられたものだ。そうであれば、南シナ海における中国の本当の意図が試されるのは南沙諸島だということになる。