ロシア極東の石油会社、地の利生かしアジア向け輸出拡大
ロシアの輸出を押し上げたのは「茶壺(ティーポット)」として知られる中国の独立系精製業者の台頭だ。これらの業者は中国原油輸入の約2割に相当する輸入枠を保有している。中国の原油輸入は過去最高の日量800万バレルに達した。
中国最大の民間精製業者である東明石化集団の李湘平主席は、山東省で最近開かれたイベントの合間にロイターに対し、ロシア産原油が市場シェアを獲得していることについて「質と価格のうまい組み合わせ」が要因だと語った。
ほぼ全ての「茶壺」は沿岸の山東省に集積し、中東産油国が使用する大型のスーパータンカーを受け入れられない中規模の港に通じたパイプラインに接続している。ロシアは比較的小型の船舶で石油を輸出している。
日本でも勢力伸長
ロシアはまた、貿易ハブのシンガポールをターゲットとしているほか、日本と韓国でも勢力を伸ばしている。ただ、こうした市場でのシェアは依然としてサウジアラビアに大きく後れをとっている。
2013─15年で、ロシア極東の韓国向け輸出は倍増し、日量20万バレル超となったほか、日本向け輸出は同国の石油需要減にもかかわらず、約25%増の日量29万バレルとなった。
日本の精製業界関係者は「距離の短さや輸送の速さによりロシア産原油は早期の精製が可能となっている。変動要因にさらされる精製業者にとって、購入から実際に受け取るまでのタイムラグの短縮化が図れている」と指摘した。
ロシアの積極的なアジア攻勢により、サウジアラビアやクウェート、イラクといった中東産油国は欧州向け輸出に再び力を入れるようになっている。
一方、ロシアは次の有望な市場であるインドに目を向けている。同国は需要が供給を上回ったばかりで、伸び率は中国を上回っている。
ロシア石油大手のロスネフチ[ROSN.MM]の幹部は今週、インドを訪問し、インドの複数の主要精製業者とエネルギー契約を結ぶ予定となっている。
(Henning Gloystein記者、Chen Aizhu記者 執筆協力:Rebecca Jang in SEOUL, Vladimir Soldatkin in MOSCOW, and Jacob Gronholt-Pedersen and Keith Wallis in SINGAPORE 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)