最新記事

虐殺

「幽霊国家」が崩壊? 中央アフリカの異常事態

既に無秩序状態にある国で虐殺が拡大新たなテロの巣窟化に国連も警鐘を鳴らすが

2013年12月11日(水)17時03分
トリスタン・マコネル

人道危機 紛争が激化する西部ボサンゴアで大麻を吸うセレカの戦闘員たち Joe Penney-Reuters

 アフリカ大陸のど真ん中にある内陸国で、今また殺戮とレイプの連鎖による深刻な人道危機が起きている。

 多くの宗教が混在する中央アフリカ共和国で、少数派のイスラム系武装勢力が貧しい子供たちに武器を持たせ、「聖戦」の先頭に立たせようとしている。このままだと新たなジェノサイド(大虐殺)が起き、国そのものが空中分解しかねない。

 旧宗主国フランスは既に、首都バンギに治安維持の名目で400人の兵を駐留させており、さらに1000人規模の増派を準備している。事態を重く見た国連も現地に展開する平和維持部隊の強化を検討中だ。

 アフリカ連合からも既に中央アフリカ国際支援任務(MISCA)として2500人の兵士が送り込まれ、来年には3600人にまで増やすという。

 中央アフリカは、人呼んで「幽霊国家」。1960年の独立以来、相次ぐ動乱の歴史をたどり、残虐な独裁者や無能な政府が続き、いまだ国家としての体を成していないからだ。

 今回の紛争は、北部でイスラム教徒主導の反政府勢力セレカが武装蜂起した昨年12月に始まった。中央アフリカの人口の半分以上はキリスト教徒で占められ、イスラム教徒は全体の15%程度にすぎないが、セレカは今年3月にバンギを制圧しキリスト教徒のボジゼ大統領を失脚させた。9月にセレカの中心的指導者ミシェル・ジョトディアが暫定大統領に就任。1年半の移行期間を経て、15年までには総選挙を実施すると宣言した。

 しかしジョトディアが自らの地位の正統性を確保するためにセレカの武装解除を打ち出すと、政権奪取に貢献した戦士の多くが猛反発し、国内各地で暴れるようになった。ジョトディア自身、もはや傍若無人な武装集団の行動をコントロールできないと認めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ドンバス全域割譲を要求、ロシアの主張変わらず=ペス

ワールド

マクロスコープ:住宅コスト高騰、国内消費の重荷に 

ワールド

韓国、年金基金のポートフォリオ見直しへ 為替変動と

ビジネス

エンブラエル、2年以内に年間納入100機目指す=幹
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 7
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 10
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中