日米関係は本当に悪いのか
ステルス戦闘機の製造に日本も参加?
冷戦の終結後、日米同盟は大きく変容したが、日米安保条約の根幹は変わっていない。その本質は、アメリカが日本を守り、日本がそれを支援するために米軍基地を受け入れ、独自の防衛体制を強化するという相互の約束だ。
森本の訪米に先立ち、7月にはアシュトン・カーター米国防副長官が日本を訪れた。このときカーターは、米政府の日本重視の姿勢に変わりがないことを強調した。日本はアメリカにとってアジアで最も重要な同盟国であると明言し、アジア太平洋諸国歴訪(ほかにタイ、インド、韓国を訪問した)で「東京を最初に訪れたのは当然」だとも発言した。
さらに、オスプレイ問題を解決するために協力し合うことを通じて、日米の信頼関係が強まることを期待すると、カーターは述べた。
カーターとしては日本側と協議することがもう1つあった。最新鋭ステルス戦闘機F35の製造における日本の役割だ。
F35の製造を請け負うのは米軍需大手のロッキード・マーティンだが、その開発は他国も出資すれば参加できる国際共同開発の形を取っている(ただカーターはこれに関連して、どの国がどの部品を担当するかは米国防総省ではなくロッキードが決めることだと強調した)。
民主党が普天間基地の「(沖縄)県外移設」を公約に掲げ、09年に政権を握って以来、日米安保は行き詰まり状態にあった。野田が民主党首相として初めてホワイトハウスを公式訪問したのも、この問題にひと区切りついた今年4月末のことだった。
このとき発表された日米共同声明で、両国は民主主義の理念に基づきアジア太平洋地域の安全保障と経済成長のために協力することを確認した。実際、オバマ政権が明らかにした軍事・外交におけるアジア太平洋地域への重点シフトと、日本の民主党政権が推進する「動的防衛協力」は、東アジア全体の平和と安定に貢献する可能性がある。
共同声明には「11年の共通の戦略目標」を踏まえたコミットメントという表現がある。ここでいう共通の戦略目標とは、11年6月に開かれた日米安全保障協議委員会(2プラス2)の最終共同声明「より深化し、拡大する日米同盟に向けて──50年間のパートーナーシップの基盤の上に」で示されたものだ。