最新記事

エネルギー

日本より怖いインド流「デタラメ」原発

2011年5月16日(月)12時52分
ジェーソン・オーバードーフ

独立性のない規制委員会

 原発建設予定地にある町や村は経済的に潤っている。地元の土壌は建材として国内各地へ送り出され、ブランド品のマンゴーの栽培も盛んだ。自然な経済発展を遂げている地域だからこそ、地元農家2000軒強のうち112軒しか、資産接収に対する政府の補償金を受け取っていないと、地元の原発建設反対運動家のミリンド・デサイは言う。

 NPCILは、ジャイタプール原発が環境に深刻な打撃を与えることはないとしている。建設地の地理的条件や技術革新のおかげで、旧世代型の原子炉を持つ福島第一原発より自然災害に強いと、アレバも主張する。

 しかし強硬に原発建設を推し進める当局やNPCILのやり方を見る限り、計画にあたってコストや地元住民の権利、環境への影響や原子炉の安全性を考慮したとは思えない。

 AERBには、独立機関としての機能が欠如していると見る向きは少なくない。ジャイタプール原発建設に反対する地元のNGOによれば、ある会議の際に当局者が「AERBはフランス政府から圧力をかけられている」と発言した。

 環境保護団体のグリーンピース・インディアは先頃、情報公開法を通じて入手した文書から、ジャイタプール原発の建設予定地での地震の起きやすさを、インド地質調査所が「レベル4」と判断していたことが分かったと発表した。NPCILの上級当局者が「レベル3」だと言っていたにもかかわらず、だ。

「お抱えの顧問に都合のいいデータをでっち上げさせるのが、地震工学に関する(NPCILの)戦略だ。第三者による検証は事実上存在しない」と、AERBのゴパラクリシュナン元議長は言う。「(原子力庁への)報告を義務付けられ自由を奪われているAERBが、インドの原子力安全管理体制を無意味にしている」

 そんなインドが今後40年間で原子力発電を100倍に増やすのは......悪夢でしかない。

GlobalPost.com特約

[2011年4月20日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物上昇、ブレント1週間超ぶり高値 イランがエ

ワールド

ウクライナ和平交渉が中断、イラン情勢緊迫で=ロシア

ワールド

K-POPグループのメンバー脱退、韓国年金基金に抗

ワールド

米8州がネクスターのテグナ買収阻止に向け提訴
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 10
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 8
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中