最新記事

アフリカ

戦争兵器としての強姦が続くコンゴ

女性に対する暴力で、家族だけでなくコミュニティの心をも破壊するというおぞましい軍事行動

2010年8月25日(水)15時21分
P.J.アルーン

 内戦が続くコンゴ東部の村では先月のある週末、性的暴力による襲撃で少なくとも179人の女性が反政府武装勢力に乱暴された。国連が8月23日に明らかにした。被害女性の大半は、子供や家族が見ている目の前で、1度に2人から6人の男に強姦されたと、あるNGO(非政府組織)はニューヨーク・タイムズ紙に語っている。

 コンゴの東部一帯では、被害者だけでなく家族やコミュニティの心を破壊し、意気を沮喪させる武器として強姦が使われてきた。約1年前には、その中心地であるゴマをヒラリー・クリントン米国務長官自らが、警備責任者の反対を押し切って訪問した。

PKO部隊の基地のすぐそばで

 クリントンは、妊娠中に暴行されて流産してしまった女性の話を聞いて涙した。クリントンはこうした暴力を「鬼畜の行い」と強く非難し、被害者救済のために1700万ドルの支援を発表した。吐き気をもよおす今回の残虐行為に関しても、彼女が非難声明を出してくれるといいのだが。

 低所得層のための調査報道に力を入れる米インナーシティプレスは、国連の責任を問う。国連はコンゴで市民を保護するための平和維持活動(PKO)に年間10億ドルを費やしている。だが今回の集団レイプは、PKO部隊の基地からわずか30キロの場所で行われたという。24日には国連安保理も召集されたが、コンゴの強姦という戦争兵器についてはとうとう取り上げられなかった。

Reprinted with permission from The "Madam Secretary" blog, 24/8/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中