テイラー・スウィフトに経済効果なし?...「スウィフトノミクス」が実は幻想である理由
シェフィールド・ハラム大学のサイモン・シブリ教授は「発生する消費支出は、どのみち発生する支出であり、何か別のものと相殺される傾向がある」と説明する。
つまり、コンサートのチケットやホテル代は家計から支出されるため、レストランや旅行など、他の支出に回せる額が少なくなるというわけだ。
ダンスケ銀行が発表した「生ビール指数」によると、デンマークが前回のサッカー欧州選手権に出場した際、パブやレストランの売上高は通常の106%も増えた。
しかし同行のピエト・ヘインズ・クリスチャンセン氏は「ミクロレベルでは、このようなイベントは追い風となるが、それも小規模で一時的なものだ」と明言。「テイラー・スウィフトさんが公演を行う場所のホテルやケータリングとか、サッカーの試合開催国のビール売り上げなど、特定の分野に関する」効果だという。
一部の英国メディアは先月、スウィフトさんファンの消費行動に関する英バークレイズ銀行の調査に飛びつき、コンサートが英国経済に10億ポンド(2030億円)をもたらすと示唆した。
しかしコンサート関連支出が他の消費を抑制しそうなだけでなく、スウィフトさんのツアー収入の多くは米国に流れるという事実もある。
英国や欧州大陸諸国の経済規模では、こうした支出の移転によって貿易収支が変わることはないだろう。20カ国から成るユーロ圏の貿易黒字は、4月だけで390億ユーロ(6兆7000億円)に上る。
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