日本人の自己肯定感は本当に低いのか?
強みがある子の自己肯定感は下がらない
日本人の親は子どもを「平均的に勉強ができる子」に育てようという意識が強いと思います。しかし「自己肯定感」という点から考えると「ある分野でずば抜けた子」に育てることにも目を向けることが大切です。「人並みにできる」「平均的にできる」では子どもの自信につながらないのです。
ユダヤ人は「超一流」を育てることで知られていますが、その秘密は「強みを伸ばす子育て」にあります。ユダヤ人ノーベル賞受賞者の一人、アルベルト・アインシュタインは、子どもの頃から天才だったわけではありません。言葉を話すことが苦手で、友だちが少なく、同級生から「のろま」というあだ名をつけられていたほど、何をやっても人並みにはできなかったそうです。
しかし、両親はアインシュタイン少年の個性を尊重し、学校のペースに合わせようと詰め込み教育をしたり、無理に友だちを作らせようとすることはありませんでした。代わって彼の強み(関心あることをとことん追求する)を伸ばすために、様々な環境や道具を「家庭で」与えたのです。
アインシュタイン少年の「強み」を引き出すことに特化してサポートしてきた家庭教育が天才を生み出したのです。「オンリーワン」を育てるユダヤの教えがなければ、アインシュタイン少年は、その優れた能力を開花させることはなかったかもしれません。
日本の教育は「平均的にできる子」を育てるという面ではすでに世界トップレベルを達成しています。これからは、一人ひとりの子どもの「強み」を伸ばす教育、得意分野で突き抜けていく人材の育成へとシフトしていくことが(日本人の自信を取り戻すために)必要なのではないでしょうか。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。