才能・特技がないのは子どもの責任? 後天的な「天才」を育てる秘訣
習慣教育が天才を育てる秘訣
優秀な子どもにはいくつもの行動の一致が見られるのですが、大きな特徴の一つとして「何事にも一生懸命に打ち込み、手を抜かない」ことが挙げられます。自主的な努力を惜しまず、勉強も、部活も、恋愛も、遊びも、100%の力で打ち込むのです。
いつでも100%を出し切るからこそ、自分の選択に後悔することが少なく、また失敗や成功、すべての行動から学びを得て、成長し続けていくという好循環ができていきます。それゆえに、少々の挫折には折れない心の強さ、物事を最後までやり遂げる意志の強さ、何事もコツコツ続けるという積み重ね、より大きな目標に挑戦するチャレンジ精神などが身についてゆくのです。
そのような子どもは、「勉強しろ」と言わないでも自主的に勉強し、もちろん、社会に出てからも誰に何を言われずとも努力と研鑽を続けていけるのです。
教育界では、このような子どもの資質を「非認知能力」と呼んでいます。非認知能力とはわかりやすく言うと、「IQのように数値化できないが、人間の成功に欠かせない能力」のこと。やる気、粘り強さ、思考の深さ、コミュニケーション力などの能力です。数多くの研究によって非認知能力の高さは知能(IQ)以上に子どもの成功や幸福感に直結していることがわかっています。
この能力はどうすれば身につくかと言うと、答えはとてもシンプルです。
子どもに「よい習慣」を身につけてもらうこと。これに尽きます。子どもの能力を伸ばす行動を積み重ね、習慣化し、定着させるのです。優秀な子どもは、もれなく「よい習慣」を持っています。この習慣が、子どもの人生の基盤となっていきます。
習慣作りのポイントは、親がよい習慣が身につく手本を見せること。親の普段の家庭での過ごし方、声のかけ方(指示を減らし子どもの自主性を促す)、態度、表情、サポートの仕方、出かける場所、与える環境など、親の行う「小さな行動」が子どもの思考や行動習慣を大きく変えるきっかけとなります。
子どもの情熱の芽を見つける
習慣作りに加えて大切なのが「強み」を作ってあげることです。子どもの才能を勉強に限定せず、スポーツ、音楽、アート、ダンス、将棋、囲碁、チェス、プログラミング、そろばん、書道、華道、STEMなど、幅広い分野から、何か一つ子どもが意欲で取り組める「情熱」を見つけてあげてください。
世界的ベストセラーとなった『グリッド(やり抜く力)』の著者、ペンシルバニア大学のアンジェラ・ダックワース教授は、「自分のやっていることを心から楽しんでこそ"情熱"が生まれる。成功者たちは、自らの目標に向かって努力することに喜びや意義を感じている。」 と述べています。
よい習慣と強み作り。この二つを意識して子育てにあたることで、遺伝を凌駕する高い才能を子どもに与えることができる(かも)しれません。
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[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。