最新記事

韓国ドラマ

男に媚びる女、女を物扱いする男...『イカゲーム』は女性蔑視的ドラマ?

SLAMMED AS SEXIST

2021年12月03日(金)17時15分
レベッカ・ジョンソン
イカゲーム

セビョク(右)とジヨン(左)は感動的な絆を結ぶ COLLECTION CHRISTOPHEL/AFLO

<男性たちの固定観念を覆す、賢く強く勇敢な女性キャラたち──。「差別」批判が的外れなこれだけの理由>

生き残りのために横暴なギャングに取り入る女性、女性を仲間にしたがらない男性、裸の女性を文字どおり物扱いするゲーム観戦者の「VIP」たち――。

世界中の視聴者の心を捉えるディストピア的サバイバル劇『イカゲーム』は、ストーリーが女性蔑視的だとの非難も浴びている。ツイッターには「女性差別がひどい! なぜ女は最低だと決め付けるのか?」といったコメントも登場した。

本作のファン・ドンヒョク監督は韓国日報の記事で、女性蔑視という疑惑を激しく否定する。作品で強調される言動は、各登場人物が「最悪の状況に置かれたとき」にどう反応するか、想像した結果だ。このドラマは「現代資本主義社会についての寓話」であり、「極限状態で(生き残るためなら)何でもしてみせる人間の行動を描いている」という。

本作は「リアルな女性像の創造」に焦点を当てているのであり、問題のある社会通念を促進するのでなく浮き彫りにするために性差別的要素を用いている、と擁護する声も上がる。筆者に言わせれば、『イカゲーム』は性差別的ではない。それどころか、深みのある女性キャラクターを盛り込んで、人間のありさまを恐ろしいまでに検証した作品だ(以下、ネタバレあり)。

女性を仲間にしたがらない男性参加者

女性に対して否定的なのは主に、頭脳派の参加番号218番チョ・サンウとギャングである101番チャン・ドクスだ。彼らはゲーム前のチームづくりで女性を加えることを拒否するが、この戦略によって大幅に有利になることはない。

一部の男性参加者の差別的で時代遅れな女性観にもかかわらず、女性参加者たちは男性と同様に、あるいは男性以上に有能であることが何度も示される。

サンウとドクスは女には腕力がないと言うが、6つのゲームのうち5つはスキルや敏捷性、運が頼りだ。3番目のゲームは綱引きだが、そこでも力が必要だという主張は完全に否定される。

作品の最初から最後まで、女性参加者は分析的能力や身体的な強さ、覚悟や勇気を示す。参加番号212番ハン・ミニョのおかげでドクスは第2ゲームの「型抜き」をクリアするし、第5ゲームの「飛び石渡り」では067番カン・セビョクが冷静さを失わず、主人公ソン・ギフンに落ち着けと声を掛ける。

セビョクが敗退したのは男性に劣ったからではなく、ゲームクリア後に負傷したからだ。けがをしても、彼女はヒステリックに泣き叫んだりせず、自分で傷の手当てをする。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

COP29、会期延長 途上国支援案で合意できず

ワールド

米、NYマンハッタンの「渋滞税」承認 1月5日から

ワールド

トランプ氏、農務長官にロフラー氏起用の見通し 陣営

ワールド

ロシア新型中距離弾、実戦下での試験継続 即時使用可
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 4

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること