子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「両親」になった
I’m Co-Parenting With a Friend
子供が欲しいジョリエットは7年来の友人に共同育児を提案した IAN JOLIET
<どうしても子供が欲しかった40代の男女が選んだ新しい「家族の形」。僕と彼女は恋愛抜きで、生まれてくる子供の親になる>
僕はずっと子供が欲しかった。まだ10歳にもならない頃からだ。小さな頭でそんなことを考えるようになったのは、たぶんイギリスのケンブリッジで幸せな子供時代を過ごし、両親から家族の素晴らしさを教わったから。そして僕が昔から子供好きだからだろう。
最後に恋人がいたのは数年前。真剣に交際し、初めて本気で結婚を考えたが、残念ながら1年で破局した。
未来は僕が思い描いていたものとは違っていたが、女友達からは幾度となく、男性はいつでも欲しいときに子供を持てるから大丈夫、と言われた。女性の場合、年齢的に妊娠・出産のタイムリミットがあるのは分かるが、男の僕でもいつでも子供が持てるとは思えない。
女友達のリンジーとは7年前の夏に友人宅での持ち寄りディナーで知り合い、友情を育んできた。似たところもあれば違うところもあるが、共通の趣味がある。
2人とも現在40代、リンジーも子供を欲しがっていてタイムリミットが近いのを自覚していた。選択的シングルマザーたちの会員組織がすごく参考になるという。僕が聞いたところでは、子供が欲しくてシングルマザーになることを選ぶ女性は大勢いるようだ。
彼女に思いを打ち明けた日
そんなやりとりの末、2020年9月、恋愛抜きで一緒に子育てする「プラトニック・コペアレンティング」というアイデアが頭に浮かんだ。それはリンジーも僕もずっと欲しかったもの──子供を手に入れる完璧な方法に思えた。
その3週間後、僕はリンジーの家に食事に行く約束だった。彼女と恋愛抜きで一緒に子供を育てたいと確信し、話をすることにした。それは「運命を決する瞬間」だった。僕の人生がある方向に進むか、それともリンジーがノーと言うか。
やっと話を切り出せたのは約30分後。僕の話をリンジーは黙って聞いていた。彼女がすぐにイエスと言ったときは本当にほっとした。
20年12月18日、僕たちは不妊治療専門医の診察を予約していた。リンジーの42歳の誕生日前だ。妊娠が判明したが、クリスマスの数日前に流産。合計3回流産した末に、今回の妊娠に至った。