「親ガチャ」は子どもからの警告 原因は育児力格差
子どもが「宿題はご飯の後にやる」「ゲームは4時になったらやめる」と言えば、親は「わかった。約束だよ」と伝えます。子どもは自分の意思で選択したことについては、きちんとやろうとします。親からうるさく言われて渋々勉強するのと、自分の意思で取り組むのでは、学習効果に差が出ますし、子どもの「心」の発達にまるで違う結果をもたらすのです。
子どもの意思を尊重するというのは、ほったらかしにしろということではありません。一人の人格者としてマナー、エチケットなど、社会的責任を伴うことも厳しく指導します。子どもが公共の場所で騒いだり、ルールに反したり、やるべきことをやらない場合は、親は毅然とした態度で子どもの行動を非難してください。ただその時も、子どもに行動を選択させることがポイントです。
子どもの頃から「自分のことは自分で決める」訓練をしていないと、自分のことがよく分からないまま大人になってしまいます。自分で考え、自分で決めて、自分で行動する経験を積ませることは、自分を知り「たくましい心」を身につけるために不可欠なプロセスなのです。
親が習慣を変えれば、子どもも変わる
家庭の経済環境は子どもの「やる気」とは無関係です。隣の芝生をうらやむのではなく、ありのままの子どもを尊重し、良い面を伸ばす子育てを実践すれば、子どもは自信を持つことができますから、子ども視点から言えば「親ガチャ当たり」なのです。
私はこれまで世界中で5000人以上の子どもたち、そしてその親たちを見てきました。キラリと輝く子どもを育てている親は、(経済状況に関わりなく)子どもの良い面を見つけて、それを伸ばすためのサポートを行い、「自主的なやる気」を大きく育てています。
子どもの「やる気」は、親の何気ない言動、行動、習慣によって大きな影響を受けます。子どもにネガティブな刷り込みをしないためには、親が自身のバイアスに打ち勝ち、情報にふりまわされないことが大切です。どのような態度を親が見せ、どんな環境を用意し、何を投げかけ、どう考えさせるか。そのような親の習慣が、子どもの「やる気」を育てるきっかけになります。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。