セクシーなシーンが満載なのに、欲求不満になるドラマ
How Sexy Is Sex/Life?
穏やかな日常に満足できないビリー(左)は元カレのブラッドと再会して…… COURTESY OF NETFLIX
<ネットフリックスの『セックス/ライフ』が、刺激的とは到底言えない残念過ぎる理由>
ネットフリックスの新作ドラマ『セックス/ライフ』に目指すものがあるとすれば、タイトルどおりセクシーであること。制作陣は「このドラマは超過激! 『セックス』っていう単語がいっぱい出てくる!」と叫んでいるようなものだ。ただし、目指すことと成功は同じではない。
主人公の女性ビリー(サラ・シャヒ)は、夫のクーパー(マイク・ボーゲル)と2人の子供と郊外で穏やかな日常を送っている。けれど、夫との性生活には不満がたまる一方。そんなとき、夫よりずっとセクシーな元カレのブラッド(アダム・デモス)との思い出がよみがえってくる。
ビリーは日記に、もっと性的に活発だった過去を詳細に書き記し、その記憶がセクシーなフラッシュバック映像として画面に流される。
このドラマは実際、どれぐらいセクシーなのか。ここでチェックしてみよう。
■セックスの頻度
1話当たりのセックスシーンの平均回数は、筆者の計算によると2.75回。1話の長さは50分前後だから、かなり多い。特に第1話では、5回もセックスシーンを詰め込んでいる。
■プレーの過激度
ほとんどのセックス描写はパロディーっぽい。最も過激なシーンはプールやエレベーター、階段の吹き抜けなど公共の場でのセックス。あとはビリーと親友が相手を交換するスワッピングや乱交パーティーのシーン、ブラッドがビリーのお尻に付いたチョコレートを食べるショットぐらい。大半のセックスはごくノーマルだ。
セックス描写がほとんどない普通のテレビ番組と比べれば、これでも過激なほうだが、本物のポルノと比べればかなり平凡だ。
■ヌード
ちらっと映るペニスの写真(そのサイズのせいでかなりの反響を呼んだ)以外には、正面からの裸はなし。でも、胸(男も女も)とお尻はしっかり見せてくれる。
■作品全体のセクシー度
これがちょっと難しい。セックスシーンや裸がないわけではないけれど、「セクシーな作品」とは到底言えない。
まず、登場人物が本当につまらない。ビリーが抱える大きなジレンマは、安定した家庭生活と刺激的なセックスライフは両立できないと思っていること。大いなる人生の矛盾というより夫婦間の対話の問題だ。この筋立てに興ざめして、セクシーな気分はどこかに吹き飛んでしまう。
全8話を見た私が覚えているのは、セックスシーンではなく、ビリーと周囲へのいら立ちだ。ビリーが性的に満たされていないといっても、そのために人生を棒に振るなんてあり得ない。