お金を稼ぐ方法、賢く使う方法、ビジネスの方法 米国では子どもにこう教える
レモネードスタンドでビジネスを教える
アメリカの子どもたちは「レモネードスタンド」でビジネスを経験します。レモンと砂糖を購入し、レモネードを作り、看板を作り、チラシを作り、自分で販売するのです。レモネードスタンドを通して、起業、商品開発、広告販売というビジネスの流れを一通り学ぶことができます。
大人はレモネードスタンドが子どもの教育目的であることを知っていますから、道ばたでレモネードを売っている子ども見かけると、喉が乾いていなくても立ち寄って買ってあげます。人によってはわざと値切ったりして、子どもにビジネス交渉術を教えることもあります。
レモネードスタンドでビジネススキルを競い合わせるイベントも開催されています。「Lemonade Alley」は、数名のチーム単位で工夫をこらしたレモネードレシピを開発し、人目を惹きつけるブースや衣装をデザインし、販売計画を立て、実際の会場で売り上げを競い合う起業体験イベントです。
子どもたちは、リーダーシップ、コラボレーション、コミュニケーション、創造力、デザイン、金融リテラシー、起業家精神など、実社会で必要とされる技能の多くを学ぶことができます。
レモネードスタンドと同じく、子どもが気軽にビジネス体験できる方法として「Garage sale」があります。これは不要になったおもちゃ、家具、衣類などを自宅のガレージや庭先で販売するものです。子どもは大人相手にコミュニケーションスキルやビジネス交渉術を実践することができます。
ファンドレイザーで「社会奉仕」を学ぶ
家庭や地域社会だけでなく、アメリカの学校教育にも「お金の教育」は浸透しています。多くの中学・高校が「お金」についての知識を深めるためのクラスや集中コースを提供しています。中には株式や債券などの「金融投資/ファイナンス」を学べる学校もあります。
またクラスで知識を学ぶだけでなく、ビジネスを体験する場として多くの学校が開催しているのが「Fundraiser」です。これは学校の運営資金やクラブ活動のための資金を「寄付」によって集めるイベントです。
ハワイのプナホウスクールが毎年開催している「プナホウカーニバル」は大規模なファンドレイザーです。移動遊園地、フードブース、各種ゲーム、ライブ音楽、オークションなどを生徒とボランティアが運営し「毎年2億円」の売り上げを上げるハワイの名物イベントとして知られています。
ファンドレイザーで集めたお金は、学校設備の向上やクラブの運営費、経済的に恵まれない生徒への助成金として使われます。生徒たちは皆で力を合わせてお金を稼ぐことの価値と「社会奉仕の精神」を経験できます。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。