ブリトニー・スピアーズ、最悪の独占取材を経験した記者が語る2007年の真実
I Saw the Britney Circus
酷評された2007年のパフォーマンス JOHN SHEARER-WIREIMAGE/GETTY IMAGES
<成年後見人の解除を求めて注目されたブリトニー・スピアーズ。あのとき私が見たのは助けが必要な1人の若者だった>
数々のセレブと行ったインタビューのうち、最も記憶に残るもの--それがブリトニー・スピアーズとの出会いだった。大きな理由は、うまくいかなかったから。というより、あれは大失敗だった。
英ゴシップ誌「OK!」からブリトニーの独占インタビューを任せると連絡があったときの興奮は今も忘れない。私は当時使用していた携帯端末ブラックベリーの予定表に「ブリトニーとインタビュー!」と打ち込んだ。日付は2007年7月19日だった。
あの頃、ブリトニーの全てがメディアの関心の的だった。今となっては、彼女が精神面の問題に苦しみ、極度のプレッシャーにさらされていたことは痛いほど明らかだ。だが当時、ブリトニーに関する報道は極めてネガティブなものになっており、彼女は自分自身の言葉で、真実を語るチャンスとして独占インタビューに同意した。
取材場所はロサンゼルスのハリウッド・ヒルズ地区にある本人の豪邸だった。到着後、この手のインタビューの撮影に雇われる大人数のチームが準備を進める傍ら、私は用意した質問を慎重に確認した。
それから私たちは待った。さらに待った。ようやくブリトニーが現れたのは約束の時間の45分後。とはいえ、ほかのセレブと比べれば、まだ時間に正確なほうだった。疾走してくる彼女の車の背後には、パパラッチの大群が連なっていた。ブリトニーを日々取り巻く、おぞましく危険なサーカス。私たち「一般人」にとってショッキングな光景だった。
自己紹介をしようと、私は屋敷に足を踏み入れた。最初の問題が持ち上がったのはそのときだ。ブリトニーの友人らが、誰も家に入らないでほしいと言ってきた。こちらが雇ったスタイリストの調達した衣装が十分に「セクシーではない」とも言われ、ヘアメークは私たちが用意したプロのチームではなく、友人たちが担当すると告げられた。
いきなり車に乗り込んで取材は終了
その後、私は友人の1人に邸内へ招き入れられ、インタビューを始めることになった。
ブリトニーはアシスタントと、ペットの小型犬と一緒に待っていた。部屋に入る際につまずいた私が自虐ジョークを言うと笑い、私のイギリス英語を話題にした。周囲の混乱状態にもかかわらず、フレンドリーで率直なインタビューになりそうだった。さまざまな問題について、ブリトニーは喜んで話す気だった。
彼女とのその雑談について部屋の外で編集者と話し合っていると、ブリトニーが取り巻きを連れて外に出てきた。
動揺した様子で自分の車に乗り込むブリトニーを引き留めようと、私たちのカメラマンが熱心に説得したが、無駄だった。事情も分からないうちに、彼女はその場を去った。