最新記事

セレブ

ブリトニー・スピアーズ、最悪の独占取材を経験した記者が語る2007年の真実

I Saw the Britney Circus

2021年07月22日(木)12時20分
ライアン・スミス(エンターテインメント・ジャーナリスト、在ロンドン)
ブリトニー・スピアーズ(2007年)

酷評された2007年のパフォーマンス JOHN SHEARER-WIREIMAGE/GETTY IMAGES

<成年後見人の解除を求めて注目されたブリトニー・スピアーズ。あのとき私が見たのは助けが必要な1人の若者だった>

数々のセレブと行ったインタビューのうち、最も記憶に残るもの--それがブリトニー・スピアーズとの出会いだった。大きな理由は、うまくいかなかったから。というより、あれは大失敗だった。

英ゴシップ誌「OK!」からブリトニーの独占インタビューを任せると連絡があったときの興奮は今も忘れない。私は当時使用していた携帯端末ブラックベリーの予定表に「ブリトニーとインタビュー!」と打ち込んだ。日付は2007年7月19日だった。

あの頃、ブリトニーの全てがメディアの関心の的だった。今となっては、彼女が精神面の問題に苦しみ、極度のプレッシャーにさらされていたことは痛いほど明らかだ。だが当時、ブリトニーに関する報道は極めてネガティブなものになっており、彼女は自分自身の言葉で、真実を語るチャンスとして独占インタビューに同意した。

取材場所はロサンゼルスのハリウッド・ヒルズ地区にある本人の豪邸だった。到着後、この手のインタビューの撮影に雇われる大人数のチームが準備を進める傍ら、私は用意した質問を慎重に確認した。

それから私たちは待った。さらに待った。ようやくブリトニーが現れたのは約束の時間の45分後。とはいえ、ほかのセレブと比べれば、まだ時間に正確なほうだった。疾走してくる彼女の車の背後には、パパラッチの大群が連なっていた。ブリトニーを日々取り巻く、おぞましく危険なサーカス。私たち「一般人」にとってショッキングな光景だった。

自己紹介をしようと、私は屋敷に足を踏み入れた。最初の問題が持ち上がったのはそのときだ。ブリトニーの友人らが、誰も家に入らないでほしいと言ってきた。こちらが雇ったスタイリストの調達した衣装が十分に「セクシーではない」とも言われ、ヘアメークは私たちが用意したプロのチームではなく、友人たちが担当すると告げられた。

いきなり車に乗り込んで取材は終了

その後、私は友人の1人に邸内へ招き入れられ、インタビューを始めることになった。

ブリトニーはアシスタントと、ペットの小型犬と一緒に待っていた。部屋に入る際につまずいた私が自虐ジョークを言うと笑い、私のイギリス英語を話題にした。周囲の混乱状態にもかかわらず、フレンドリーで率直なインタビューになりそうだった。さまざまな問題について、ブリトニーは喜んで話す気だった。

彼女とのその雑談について部屋の外で編集者と話し合っていると、ブリトニーが取り巻きを連れて外に出てきた。

動揺した様子で自分の車に乗り込むブリトニーを引き留めようと、私たちのカメラマンが熱心に説得したが、無駄だった。事情も分からないうちに、彼女はその場を去った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米IT大手、巨額の社債発行相次ぐ AI資金調達で債

ワールド

トランプ政権、25年に連邦職員31.7万人削減 従

ワールド

米、EUにデジタル規制見直し要求 鉄鋼関税引き下げ

ビジネス

情報BOX:大手銀、米12月利下げ巡り見解分かれる
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    メーガン妃からキャサリン妃への「同情発言」が話題…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する…

  • 5

    「日本のハイジ」を通しスイスという国が受容されて…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 3

    むしろ足止め歓迎! 世界の風変わり空港9選

  • 4

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 5

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 5

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界も「老害」戦争

特集:世界も「老害」戦争

2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に